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労働安全衛生法/法5条1項及び4項の解釈について
raiki20131 2022-03-26 18:35:51
第五条 二以上の建設業に属する事業の事業者が、一の場所において行われる当該事業の仕事を共同連帯して請け負つた場合においては、厚生労働省令で定めるところにより、そのうちの一人を代表者として定め、これを都道府県労働局長に届け出なければならない。
4 第一項に規定する場合においては、当該事業を同項又は第二項の代表者のみの事業と、当該代表者のみを当該事業の事業者と、当該事業の仕事に従事する労働者を当該代表者のみが使用する労働者とそれぞれみなして、この法律を適用する。
まず1項について、「二以上の建設業に属する事業の事業者が、一の場所において行われる当該事業の仕事を共同連帯して請け負つた場合」という部分を分かりやすくかみ砕いて教えていただけますでしょうか。
「二以上の建設業に属する事業の事業者」・・・(ジョイントベンチャーに関する規定なので)2社以上の建設業者(組合みたいなもの)に所属するそれぞれの事業者
「一の場所において行われる当該事業の仕事を共同連帯して請け負つた場合」・・・1つの場所で行われる建設業の仕事を共同で請け負う場合
とそれぞれ解釈していますがいかがでしょうか。
併せて4項の解釈についても、具体例等をあげつつ、わかりやすく教えて頂けますでしょうか。
また、建設業には様々な業務内容があろうかと思いますが、その色々な仕事を全部ひっくるめて、共同連帯して請け負う場合も5条の規定が適用されるのでしょうか?
書かれていることは、細かく言わなければ間違っていません。
しかし、社労士受験のための安全衛生法の理解としては、もっとシンプルでよく、かつ、「何のために」が必要です。
建設業に属する事業の事業者が、一の場所において行われる当該事業の仕事を共同連帯して請け負った場合というのは、いくつかの建設会社が特定の建設工事のために共同企業体を作り、その共同企業体がその建設工事の元請事業者になった場合です。
ジョイントベンチャー(共同企業体)がどういうものであるかについては、必要であれば検索して調べてください。
大きな建設工事の現場に、「○○組・△△工務店JV」なんて書いてあるやつです。
建設工事現場の安全衛生管理は元請事業者が責任を負います。
下請事業者はこれに協力する義務を負います。
しかし、複数の企業が連帯して共同企業体を作り、その共同企業体が元請事業者になった場合、元請に関連する企業が複数になるため、責任の所在が曖昧になりがちです。
このため共同企業体として代表者を定め、その代表者をその現場の事業者とし、そこで働く労働者を(個々の企業ではなく)共同企業体の労働者として労働安全衛生法の適用を行います。
テキストや口述講義に法5条及びジョイントベンチャーについての解説はありませんか?
この部分の理解はそこに書かれている範囲でよく、あまり深入りする箇所ではありません。
と、いうより社労士試験対策としては、テキストに書かれていない事項は、原則として気にする必要がありません。
社労士試験にまつわる知識は裾野が広く、覚えて理解するのが理想であっても、それは理想に過ぎません。
受験用テキストは、多岐にわたる知識を、受験に必要な項目に絞り込んだ武器です。
載っていないことは受験のための武器としての長所であり、そして文字では理解しにくい部分をうまく丸めて受験に必要な範囲で理解させるのが口述講義の役割です。
限られた時間の中での学習ですから、テキストや口述講義などの長所は生かすようにしてください。
ただ、この法5条は、「何のために」という点で、法15条以下の請負関係における安全衛生管理体制と繋げて理解すべき事項です。
「ジョイントベンチャーが何か」の理解はそこそこで良いですが、請負関係における安全衛生管理体制との関連をテキストや口述講義から読み取ることができないと、理解が宙に浮きます。
請負関係における安全衛生管理体制の学習が終わってから、復習することをお勧めします。
> また、建設業には様々な業務内容があろうかと思いますが、その色々な仕事を全部ひっくるめて、共同連帯して請け負う場合も5条の規定が適用されるのでしょうか?
ジョイントベンチャーにもいろいろな形があると思いますが、あなたが建設業界にある程度精通した上で訊かれているなら、私なんかの説明の必要はないでしょう。
逆に、ただ単に、「様々な業務内容があろうかと思いますが、その色々な仕事を全部ひっくるめて」という、漠然とした推測とイメージだけで質問しておられるなら返答のしようがありません。
あなたが訊かれているのは、「注文者からある者が注文を受けて元請として建設の事業を行う」場合の「ある者」が労働安全衛生法上どのように扱われるのかついての様々な場合に関わることであり、総論的には法5条1項に書かれているとおりに覚えておけば良く、個別の案件については受験対策として考える必要のない部分だと思います。
受験対策として直接必要なのは、令和3年問8で出題されたように「二以上の建設業に属する事業の事業者が、一の場所において行われる当該事業の仕事を共同連帯して請け負った場合」にどういった手続きが必要かと言うことと、それを知った上で理解すべきは、請負関係における安全衛生管理体制との関連です。
なお、ジョイントベンチャーには国土交通省の分類する3つの方式と、そのそれぞれに2つの型があり、この型に関しては労災保険法で出題の実績があります。(平成26年労災保険法2A。いわゆる「甲型」についての出題。)
しかし、そもそも通達(昭和41年基災発8号)の問題であり、出題の要素を押さえ、結果を押さえておけば問題はなく、それ以上深入りする必要はあまりないと思います。
なお、この問題はジョイントベンチャーのいわゆる「甲型」についての問題ですが、分担施工方式(いわゆる「乙型」)の場合、共同企業体であっても、協定に基づいてあらかじめ責任を分担されている工事をそれぞれ独立の事業とし、共同企業体の各構成員(企業)がそれぞれ事業主として労災保険関係が成立します。
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poo_zzzzz 2022-03-27 11:57:10
前回に引き続きありがとうございます。
質問の仕方が悪かったですね。
もし、元企業が事業目的以外の工事を請け負っている(複数の建設工事を同時に請け負う)場合は、JV契約における元企業の扱われ方・安全管理体制はどのようになるのでしょうか?
事業目的である工事をこなす場合にのみ、「合併扱い&共同企業体として活動する」こととなるのでしょうか?つまり、事業目的である工事以外の業務をこなす場合には、合併扱いされず、元企業を従来通りの扱いをしてJV契約以前の形態で活動するのでしょうか?
そして、安全衛生管理体制においても、事業目的と事業目的以外の業務を完全分裂して、二重に(安全管理者などの)各機関を設けるのでしょうか?
(つまり、元企業には
・共同企業体としての安全管理体制。
・それ以外の業務としての安全管理体制。
安全管理体制がダブルに存在することになるのでしょうか?)
拙い文章になり申し訳ありません。(私の疑問はやはり受験対策に不要でしょうか?)
JVの理解に苦しんでいます。
この点分かりやすくご教示頂けないでしょうか?
raiki20131 2022-03-30 22:05:33
(私の疑問はやはり受験対策に不要でしょうか?)
そうですね、まず受験対策として不要だと思います。
また、失礼ながら今回書かれている質問のポイントは法令からずれているようにも感じられますし、そうであればお答えすることも無意味です。
もし、ポイントのずれた質問ではないと仮定するなら、「二以上の建設業に属する事業の事業者が、一の場所において行われる当該事業の仕事を共同連帯して請け負った場合」がすべてです。
これに該当しなければ、その事業は法令上共同企業体の事業として扱われません。
つまり、テキスト通りの理解で十分です。
また、お尋ねのテーマに「安全管理者」は出てきません。
請負関係における安全衛生管理体制をしっかり学習してください。
受験対策の基本は、テキストの読み込みと口述講義の聞き込みから始まり、過去問を解き、テキストで内容を再確認し、そのサイクルの中で基礎からの知識をしっかり固め、また、テキストの内容が実戦でどのように問われ、逆に出題された内容がテキストのどの部分に関連するかを、ご自身にとって必要なだけ繰り返すことです。
そしてその間に起きる疑問は、基本的に先送りです。
上記の、テキスト(口述講義)と過去問を関連させた反復トレーニングにより、「何が試験で問われ、それがテキストのどこに関連するのか?」という受験に必要な判断ができるようになります。
学習初期に感じる疑問の多くは、このトレーニングの過程で自力で解決するか、受験対策として解決不要であることが理解できて消滅します。
他人の知識と時間と労力を借りるのは、トレーニングによる判断ができるようになり、それによって合格のために解決が必要な疑問が絞り込まれてからだと思います。
追記
上に「請負関係における安全衛生管理体制をしっかり学習してください。」と書きましたが、読み直して感じたのは、質問された方はおそらくですが、事業所における一般的な安全衛生管理体制と、請負関係における安全衛生管理体制の違いを解っておられません。
請負関係で事業が行われる場合(製造業等を含む)は、労働者の危険又は健康障害を防止するための措置が特別なものになり、元方事業者や関係請負人にそれについての義務が生じます。
特にその中でも特定元方事業者が行う事業については特別な義務が課されます。
また、特定元方事業者が行う事業については、安全衛生管理体制も特別になります。
例えば、建設業を行う従業員150人(事業所は本社1つ)の会社があるとします。
そして、その会社が10の建設工事(全ての現場で常時50人以上が作業に従事)を元請として請け負っているとしましょう。
この場合、この建設会社は
(1) 本社に一般的な安全衛生管理体制を敷く。(総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、産業医、委員会必要)
(2) 10の建設工事の現場全てそれぞれに、請負関係における安全衛生管理体制を敷く。(統括安全衛生責任者、元方安全衛生管理者、下請に安全衛生責任者必要)
ことになります。
この時点で、この建設会社は、一般的な安全衛生管理体制1つと、請負関係における安全衛生管理体制10の、計11の安全衛生管理体制に責任を負っています。
もし、この会社に、本社と別に1つの支店があれば、一般的な安全衛生管理体制がもう一つ加わります。(内容は規模による)
漠然とでもいいのですが、こういったことは理解できていますか?
これが理解できていれば、失礼ですが、「そして、安全衛生管理体制においても、・・・安全管理体制がダブルに存在することになるのでしょうか?)」のような質問はありえないと思いますし、「安全管理者」もあり得ないと思うのです。
私が、「失礼ながら今回書かれている質問のポイントは法令からずれているようにも感じられます」と書いたのはこのためです。
あまり、具体的な内容や細かいルールに踏み込む必要はありません。
しかし、上記のような基本的なことが理解できていない間に質問されると、質問そのものがおかしくなってしまい、答える側はお答えのしようがなくなるのです。
でも、上記のようなことは、基本的ではありますが、テキストをさらっと読んだくらいでは、多くの人が理解できません。
私が、
・学習中の疑問は基本的にスルー(付箋は貼って、疑問箇所は押さえておく)
・テキスト、口述講義と過去問を反復往復し、「何が試験で問われ、それがテキストのどこに関連するのか?」をしっかりトレーニングする。
を言うのはこのためです。
適切な質問を行うには、テキスト、口述講義、過去問を使ったトレーニングが先に必要なのです。
そして上記を踏まえ、もう一度法5条を読み直してください。
下記に1項と4項を繋げて書きます。
2以上の建設業に属する事業の事業者が、一の場所において行われる当該事業の仕事を共同連帯して請け負った場合においては、当該事業を同項又は第2項の代表者のみの事業と、当該代表者のみを当該事業の事業者と、当該事業の仕事に従事する労働者を当該代表者のみが使用する労働者とそれぞれみなして、この法律を適用する。
まず、「事業」は請け負いによる建設事業です。
最初の説明でも書きましたが、この場合、JVの代表者が事業者になります。
JVを構成する2以上の建設業に属する事業の事業者に使用される労働者は、JVが行う請け負いによる建設事業においては、その代表者に使用される労働者とみなされます。
このような状況です。
請負による建設事業ですから、具体的には建設現場そのものであり、それに応じた労働者の危険又は健康障害を防止するための措置が求められます。
そしてそこに敷かれる安全衛生管理体制は、JVの代表者を事業者としたその請負工事の現場に対する「請負関係における安全衛生管理体制」です。
JVの建設現場で働く労働者は、元請労働者、下請労働者共に、その建設現場で働く間は、JVの建設現場での必要な措置の適用を受け、その現場の安全衛生管理体制に組み込まれます。
しかし、同じ労働者であっても、他の建設現場で働く日は、その別の建設現場での必要な措置の適用を受け、その現場の安全衛生管理体制に組み込まれます。
そして労働者がその者が元々雇われている会社の本社に、例えば研修を受けるために出社すれば、その日は本社に適用される一般的な措置の適用を受け、本社の安全衛生管理体制に組み込まれます。
そして健康診断もその会社で受けるのです。
蛇足ですが、JVは民法上の組合です。
JVが建設現場以外の場所に独立した事務所を持つ、という可能性は否定できませんから、その場合、その事務所に安全衛生法上の義務が生じる可能性も私には否定できません。
しかし、「事業」は基本的に場所の概念ですから、これは建設現場ではない新たな事業所ができた、ということに過ぎません。
事務所は請け負いによる建設事業ではありませんから法5条も関係ありません。組合が事務所を持っただけです。
例えばある産業の同業者が協同組合を作り、その協同組合が独立した事務所を持った、と、いうのと同じだと思います。
こういったことを知れば、役に立った、と思われるかも知れません。
しかし、それは受験対策としてはトリビアに過ぎません。
確かに社労士試験の知識の範囲にはあるけれど、それが受験に必要かどうかは別です。
「知っていれば理解が楽」なレベルの知識なら、本当に恐ろしい量があります。
たまたま気になったから知っておこう、という考え方はお勧めしません。
そういった考え方ならば、他人に頼らず自力で調べられるべきだと思います。
何度も言いますが、社労士試験対策としては、テキストに書かれていない事項は、原則として気にする必要がありません。
社労士試験にまつわる知識は裾野が広く、覚えて理解するのが理想であっても、それは理想に過ぎません。
受験用テキストは、多岐にわたる知識を、受験に必要な項目に絞り込んだ武器です。
載っていないことは受験のための武器としての長所であり、そして文字では理解しにくい部分をうまく丸めて受験に必要な範囲で理解させるのが口述講義の役割です。
仮に理解できなくても、書かれているままに覚えていれば受験対策としては良いのです。
私が上に「基礎的」と書いた事項も、理解できなくても受験の合否にはそれほど大きくは影響しません。テキスト通り覚えておけばいいのです。
限られた時間の中での学習ですから、テキストや口述講義などの長所は生かすようにしてください。
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poo_zzzzz 2022-03-31 21:34:53
丁寧にご教示頂き本当にありがとうございます。
確かに基礎的な理解ができていなかったのだと思います。
確認の意味合いを込めて、その基礎的なことについて改めて質問させて頂いても宜しいでしょうか?
例えば、建設業を行う従業員500人(事業所は本社1つ)の会社において、
その会社が10の建設工事(全ての現場で常時100人以上が作業に従事)を元請として請け負っているとした場合。
仰せの通りならば、この建設会社は
(1) 本社に従来型の安全衛生管理体制が必要(総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、産業医、委員会必要)
(2) そして、10の建設工事の現場全てそれぞれに、請負関係における安全衛生管理体制を敷く(統括安全衛生責任者、元方安全衛生管理者、下請に安全衛生責任者必要)、従来型の安全衛生管理体制は不要
この解釈でOKなのでしょうか?
てっきり、10の建設現場にも、(請負関係における安全衛生管理体制に加えて)それぞれ本社同様の従来型の安全衛生管理体制を敷くものだと考えていました。つまり、10の建設現場それぞれに安全管理者を置かなければならないのかなと考えていました。
(ということは、建設現場は事業場には該当しないと解釈するのでしょうか?もっとも、下請負関係がない単なる建設現場においては安全衛生管理体制はどのようになるのでしょうか?)
ジョイントベンチャーについては、あれから色々と調べました。その結果、元会社の扱い(民法上の組合のため、元会社は合併消滅せず、元会社の別組織として新たに合弁会社のようなものが誕生する)については、はっきりと分かることができました。
社労士の先生のYou Tubeを観ていたら、「理解することがかなり大事」と、その先生が動画内で述べられていたため、それを意識しすぎて神経質になっていたのかもしれません。
内容面はもちろんですが、勉強法という枠組みにおいても、この試験はやはりかなりの難関であるなと改めて感じさせられます。
分からない部分への対処の仕方に関するアドバイス、とてもありがたいです。早速実践してみます。
さて、話は逸れましたが、上記の「基礎的なこと」について、失礼をおかけしますが、改めてご教示頂けますでしょうか?
宜しくお願い致します。
raiki20131 2022-04-02 05:49:06
お尋ねになっていることは基本的なことではありません。
基本的な事項であっても、受験対策として基本的とは限らないのです。
あなたがお尋ねになっているのは、労働安全衛生法上、建設現場が独立した事業場になるのか?というテーマであり、これはどちらかというと実務です。
労働安全衛生法のどこにも「建設現場は独立した事業場とはしない」とは書いていません。
それに関するエビデンスとなる文書も、私は見たことがありません。
また、私が覚えている限り、建設工事現場について、本試験で今回のご質問に関する出題があった記憶はありません。
ですからあなたが「建設現場にも一般の安全衛生管理体制が必要」とお考えなら、そう覚えても良いと思います。
受験対策として、私には肯定はできないですが、積極的なエビデンスがありませんから明確な否定もできません。
でも、建設現場の労働安全衛生法上の責務は、事業主体である工務店や建設会社が事業者として負い、請負関係における安全衛生管理体制と、請負関係における労働者の危険又は健康障害を防止するための措置等を除き、その建設現場を管轄する本社や支店と一体で考えます。
これは、実務です。
また、法3条で、事業者には包括的な労働災害防止義務がありますから、独立した事業場として扱わなくても、その現場に必要かつ十分な安全衛生に関する措置を取る義務が、事業者にあるのは当然です。
労働安全衛生法は労働基準法から分離独立した法律ですが、主として法令上の義務を負う者をあえて「使用者」といわず「事業者」といっています。
これは、事業経営の利益の帰属主体そのものが義務主体であることを明確にするためです。
例えば労災保険では建設工事を独立した事業として扱い、このため徴収法も有期事業として独立して扱います。
これは、労働基準法(労災保険法ではない)が、特定の請負事業について災害補償責任を元請人に負わせるためで、法令上の根拠があります。
では、仮に50人が作業する建設現場では、その現場に独立した就業規則が必要なのでしょうか?
私は、そういう扱いの例を知りません。
労働安全衛生法の建設現場の扱いが受験対策として気になるなら、本来ならば、より早く学習する労働基準法がどうなのかも気になるはずです。
「たまたま気になったから知っておこう、という考え方はお勧めしません。」と書いたのはそういうことです。
また、そういった知識が、受験に必要かどうかの判断ができる段階になっていますか?
受験対策としての必要性に関係なく、たまたま気づいたから仕入れる知識は、トリビアに過ぎません。
社労士に関わる知識の範囲は非常に広く、20年開業していても「あれ?そうだったの?」ということは多くあります。
また実務の扱いが、法令上、これはどうなの?と思うことも少なくありません。
テキストは、その広い範囲の知識から、受験に必要性が薄い部分を削ぎ落とし、必要な知識を精選し、さらに受験に必要な解釈を加えた、受験のための武器です。
載っていないことは、受験のための武器の長所です。
実務に必要な知識でも、試験に必要が薄ければ載せる必要はありません。
載ってないことを追求するのは、受験の武器の長所を殺すことです。
しかし、そんなテキストでも、載っている情報は膨大で、かつ、難解です。
このため、テキストの内容を丸め、かみ砕き、飲み込みやすくしてくれるのが口述講義です。
学習初期は、テキストと口述講義で、必要な知識を取り込みます。
次に過去問にかかり、過去問の出題内容をテキストで確認することで、テキストの内容が実戦でどのように問われるのかを学び、乱雑に頭に入った知識を、実戦で使えるように磨きます。
同時に過去問の内容がテキストのどこにあり、それが他のどこに関連するのかを考えながらテキストを読み込むことで、過去問を中心に知識の範囲を拡げます。
それが十分におこなわれ、テキストの学習範囲が広がりすぎたと感じたら、横断的な整理を行い、次に過去問の出題傾向とテキストの構成をにらみ合わせ、テキストの情報に必要性の濃淡を付け、知識の絞り込みを行います。
それによって、過去に出題されていない箇所への対応力を養います。
なお、これは「テキストの丸暗記」を指しているのではありません。
テキストと過去問を通じた学習が進むにつれ、テキストの記述内容が、いろいろな箇所で、また科目間で、あるものは関連し、また似て非なるものであることに気づき、「ああ、そうだったのか」になります。
多くの規定は単独では成立していません。科目内・科目間を通じ、そういった理解が進んで初めてテキストの内容が「解った」ことになります。
そういった理解は「かなり大事」です。
社労士受験の基本的な学習はそのようなものだと思います。
そして、そういったトレーニングの過程で、多くの疑問が生じます。
疑問が生じた時は、あなたが見えていなかった壁が、目に見えた瞬間です。
疑問が生じたら、テキストを広い範囲で復習し、関連する過去問を当たってください。
その過程で、今まで気づかなかった規定や、その関連性に気づくはずです。
でも、それで解決しなければ、付箋を貼って先送りしてください。
他の科目も通じて反復してトレーニングすれば、受験のために解決が必要な疑問の多くが自力で解決します。
解決しない場合でも、多くの疑問は受験対策として解決の必要性が薄いと判断されて消滅します。
そういった過程を経て残った疑問が、「受験対策として解決の必要性があるが自力で解決できない疑問」です。
私は、そういったトレーニングを経ておらず、受験においての必要性も判断されていない疑問について、他人の時間や知識や労力を借りようとする姿勢に疑義があります。
このため、「そういった考え方ならば、他人に頼らず自力で調べられるべきだと思います。」と書きました。
十分に学習し、受験においての必要性について判断した上での疑問であれば、それがたまたま見当違いであっても、それについては何も言わないつもりです。
私は、疑問を持つことは悪いことだと思っていません。
私自身は、生じた疑問を、必要性に関係なく自分で手間暇掛けて徹底的に潰す学習法を取りました。
ネットが充実していない時代でしたから大変でしたが、楽しかったです。
おかげで社労士講師から「何になるつもり?」と笑われましたが・・・
でも、それは「試験合格のための学習」ではありません。
このため、そういった疑問の解決方法はそれにふさわしいものであるべきだと思います。
そしてこの質問広場は、社労士受験のための場なのです。
ですから私の回答は、質問された方の疑問を解決することを必ずしも目的としていません。
質問された方が合格するために、今、何が必要であるかを私なりに考えて回答しています。
蛇足です。
同じ場所に、2つ以上の安全衛生管理体制が生じる場合はあります。
造船業の工場では、工場としての一般的な安全衛生管理体制があり、その上で、造船現場に請負関係における安全衛生管理体制があります。
しかしこれには工場全体の危険管理と、請負関係で生じる危険管理という分担があり、重複ではありません。
また、造船業の工場には、請負関係における安全衛生管理体制を敷く義務はありますが、元方安全衛生管理者の選任義務がありません。
元請事業者の工場内で作業を行うため、特別扱いなのは「請負であることに起因する危険の防止」だけで、それ以外は工場の安全衛生管理体制で対応できるからです。
また、大規模製造業でいわゆる構内請負がある場合も、同じ工場の中に複数の安全衛生管理体制が存在する場合があり得ます。
しかし、これはそれぞれ事業者が違いますから、やはり重複ではありません。
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poo_zzzzz 2022-04-02 21:53:43
ご返信が遅れてしまい、本当に申し訳ございません。
合格のための真っ当な試験対策としては逸脱しているにも関わらず、丁寧に教えていただき、ありがとうございました。
蛇足ながらも、同じ場所に2つ以上の安全衛生管理体制が生じるケースが存在することが分かりました。
テキストに掲載されている範囲での理解・勉強を行い、poo_zzzzzさんのアドバイスをしっかりと遵守したうえで、合格を目指していきたいと思います。
また何かあった際には頼りにさせて頂くことがあろうかと思いますので、受験のアドバイスを頂けると嬉しいです。
宜しくお願い致します。
raiki20131 2022-04-13 22:46:10
コメントありがとうございます。
こちらこそ気づかず失礼しました。
> 合格のための真っ当な試験対策としては逸脱しているにも関わらず
> また何かあった際には頼りにさせて頂くことがあろうかと思いますので、受験のアドバイスを頂けると嬉しいです。
私がよく書く例えですが、谷川岳という山があります。
小学生の遠足でも登る山ですが、同時に遭難者数でギネスブックに載った山でもあります。
これは、なだらかで整備され安全な尾根道を持つと同時に、急峻で脆く高度のある崖を多く持ち、天候の変化も激しいからです。
この山を、尾根道を歩くのではなく、急峻な崖をよじ登るのは自由ですが、それならば、それに必要な知識も、体力も、技術も、装備も、ご自身で備えなければなりません。
受験勉強も同じだと思います。
学習方法は自由ですし、近道を考えるのも、遠回りでもご自身が納得できる道を切り開くのも、受験される方が決めれば良いと思います。
でも、わざわざ遠回りされるなら、それに必要なモノはご自身で準備されるべきだと思うのです。
ここは社労士受験のための掲示板ですから、私は、質問された方ができるだけ早く合格するために今何が必要かを、私の考えでアドバイスしています。
中心にあるのは、良質な受験用テキスト、口述講義、そして過去問です。
質問された内容に対する答えは、その中でする場合もある、という考え方ですので、ご理解いただけるとうれしいです。
参考になった:6人
poo_zzzzz 2022-04-18 04:32:04