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労働基準法/1年単位の変形労働時間制について
uesaka 2022-07-08 23:23:12
労働基準法の過去問で「1箇月単位の変形労働時間制を採用する場合には、労使協定による定め又は就業規則その他これに準ずるものにより、変形期間における各日、各週の労働時間を具体的に定めることを要し、変形期間を平均し週40時間の範囲内であっても使用者が業務の都合によって任意に労働時間を変更するような制度はこれに該当しない」とされている一方で、1か月単位の変形労働時間制により所定労働時間が、1日6時間とされていた日の労働時間を当日の業務の都合により8時間まで延長したが、その同一週内の1日10時間とされていた日の労働を8時間に短縮した。この場合、1日6時間とされていた日に延長した2時間の労働は時間外労働にはならないという問題もありました。言っていることが矛盾しているような気がしますがいかがでしょうか?
今時間がないので、しっかりした回答を書くことができません。
申し訳ないですが下記について考えてみてください。
① 変形労働時間制は、法32条で1週間40時間、1日8時間に縛られている法定労働時間の枠組を変形するものであること。
原則の法32条は1日8時間が法定労働時間ですが、就業規則や労働契約で8時間働くことになっていた日について、翌日の繁忙が予想されるため6時間で帰らせ、翌日10時間勤務させたとしても、それぞれの日の法定労働時間は8時間のままであり、法定労働時間を変更したことにはなりません。
同じように、お尋ねの例で、6時間とされた日に8時間労働させてもその日の法定労働時間は8時間のまま(下記②のリーフレット参照)であり、10時間とされた日を8時間で切り上げてもその日のその事業所の法定労働時間は10時間のままです。これは法定労働時間の再変形ではありません。
これは時間延長や時間短縮に対する就業規則や労働契約の問題であり、そこに問題がなければ差し支えはない(時間外になる場合は36協定も必要)のです。
つまりお尋ねの件は、法定労働時間の再変形の問題ではなく、日々の労働時間の短縮と延長に対する就業規則上や労働契約上の問題(時間外になる場合は36協定も必要)なのです。
② 1か月や1年の変形労働時間制において、変形された1日の労働時間を超えたからといって、その日が時間外労働になるとは限らない。
変形の結果9時間とされた日に9時間を超えて労働すればその日において時間外労働が発生しますが、変形の結果6時間とされた日に6時間を超えて労働しても8時間以内であればその日においては時間外労働は発生せず、6時間を超えた時間が時間外労働になるかどうかは、週又は変形期間全体で判断することになります。下記リーフレットの「4 割増賃金の支払い」参照。
https://jsite.mhlw.go.jp/hyogo-roudoukyoku/content/contents/000597825.pdf
参考になった:2人
poo_zzzzz 2022-07-10 14:25:01
ごめんなさい。1年単位の変形労働時間制というタイトルだったので自分には関係ないと思っていました。返事が遅れて申し訳ありませんでした。要は例外的に法定労働時間内の変更であれば許されるということですね。どうもありがとうございました。
uesaka 2022-07-14 23:07:45
> 要は例外的に法定労働時間内の変更であれば許されるということですね。どうもありがとうございました。
この理解は、今回の疑問については全く違います。かすってもいません。
あなたは、論点が全く違う2つの過去問を比較して、矛盾を感じておられます。
H22労基5AとR1労基2Cは、労働基準法上の異なるテーマを扱っているのですから、答えがかみ合わないことに矛盾はありません。
あなたは、
① 法定労働時間と変形労働時間制の意義・規定
② 所定労働時間を超え、又は短縮する労働を命じること
③ 具体的な労働が法定労働時間を超えるかどうか
という3つの異なったテーマを切り分けることができていないようですし、かつ、お互いの関係が理解できていないように見えます。
満点を取らなければならない試験ではありませんから、今年受験されるなら、今はこの部分は付箋を貼って封印し、スルーされた方が良いと思います。
> 1年単位の変形労働時間制というタイトルだったので自分には関係ないと思っていました
「1年単位の変形労働時間制」というタイトルは、あなたが付けたタイトルのはずです。
タイトルを付けることができるのは、新たに質問を起こすときだけのはずで、回答する者は変更できません。
あなたが付けたタイトルなのに、ご自身に関係がないのですか?
とても不思議なコメントです。
poo_zzzzz 2022-07-15 09:09:04
考えていただきましたか?
元々労働契約は双務の民事契約であり、そこに何を定めるのかは、法令や公序良俗に反しない限り自由です。
しかし、そうすると資本や組織を持っている使用者の力は労働者に比して強いですから、労働者に不利益な契約になりがちです。
労働基準法は、そういった労働者を使用者から守るために、使用者を規制する、民法の特別法です。
さて、労働時間の原則である法32条1項2項は「使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。」と、「労働させてはならない」という用語を用いて、ある期間において一定時間を超えて労働させることを禁止しています。
法による強制的な禁止ですからそれらの時間を超えて労働させれば違法であり、また罰則もあります。
この労働時間を「法定労働時間」といいます。
そして、法定労働時間による労働の禁止の例外として、法33条の災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等があり、また、36協定の締結と届出を前提とした時間外労働等があります。
これらは「法定労働時間」はそのままに、一定のルールと法37条の割増賃金の支払を前提として、法定労働時間を超えて労働させても違法にならない、という規定です。
「法定労働時間」そのものは何も変わらない、という点に注意してください。
さて、使用者が労働者に、就業規則や労働契約(以下単に労働契約等といいます)で定められた所定労働時間(以下単に所定労働時間といいます)よりも長い時間外労働を命じることができるかどうかというと、これについては労働基準法は何も言っていません。
法定労働時間を超える場合は36協定がなければ違法ですが、だからといって36協定があるからといって労働基準法上労働者に所定労働時間を超える時間の労働義務が生じるのかというと、そうではありません。
逆に、所定労働時間よりも短い短縮勤務を、使用者が労働者に命じることができるかというと、これについても労働基準法は何も言っていません。
これらは法令や公序良俗に反しない限り、使用者と労働者が自由に決めて良いことです。
あくまで「使用者と労働者が」です。(労働契約法3条参照)
労働者には労働契約により働く義務があると同時に、労働時間とされた時間を働き賃金を受ける権利がありますから、時間外労働にせよ、時間短縮にせよ、使用者が勝手に決めることはできず、労働契約等に定めが必要です。
このため、ある日に使用者が労働者に所定労働時間を2時間超えて労働することを命じ、他の日に所定労働時間より2時間短い時間で帰らせたとしても、労働基準法上の問題はありません。それが正当か不当かは労働契約等の内容によります。
ただし、それにより法定労働時間を超える労働が生じる場合は、36協定の締結と提出、そして割増賃金の支払が必要です。
何度も書きますが、「法定労働時間」そのものは何も変わりません。
R1労基2Cの状況は、上記の労働契約等による労働時間の短縮と延長(以下時間外労働等といいます)が行われた状況です。
そしてその延長された労働時間が時間外労働になるか否かが問われています。
あなたが思っておられるような、1か月単位の変形労働時間制における一定期間の労働日とその各日の労働時間の指定とその変更の可否はテーマではありません。
問題文は労働契約等がどうなっているかについて触れていませんが、これらはもともと労働基準法が何も言っていない事柄です。
あくまで労働基準法からの出題ですから、問題文がそこに触れている必要はありません。
1週40時間1日8時間の法32条の法定労働時間の下で、労働契約等の定めに従って使用者が労働者に時間外労働等を命じることが可能であるのと同様に、変形労働時間制の下でも労働契約等の定めに従って時間外労働等をさせることは可能です。
もう一度書きますが、法定労働時間の枠組みそのものを変形する、1か月単位の変形労働時間制等における一定期間の労働日とその各日の労働時間の指定とその変更とは異なる事柄です。
次に変形労働時間制の趣旨と、1か月単位の変形労働時間制(法32条の2)と1年単位の変形労働時間制の説明(法32条の4)における労働日と各日の労働時間の指定の意義の説明をします。
説明は法32条の2の1か月単位の変形労働時間制で行います。
法32条の2第1項(一部書き換え)
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、又は就業規則その他これに準ずるものにより、1箇月以内の一定の期間を平均し1週間当たりの労働時間が法32条1項の40時間を超えない定めをしたときは、法32条の規定にかかわらず、その定めにより、特定された週において法32条1項の40時間又は特定された日において法32条2項の8時間を超えて、労働させることができる。
意味が分かりやすいように、法32条の2第1項に法32条の具体的な時間を溶け込ませて書き換えています。また、特例事業所は考慮していません。
注目していただきたいのは最後の「その定めにより、特定された週において法32条1項の40時間又は特定された日において法32条2項の8時間を超えて、労働させることができる。」の部分です。
先に書いたように、原則の法定労働時間を定める法32条は「1週40時間、1日8時間を超えて、労働させてはならない」でしたよね?
この「超えて労働させてはならない」に対して、一定の定めにより「超えて労働させることができる」とするのが、変形労働時間制の「本質」です。
一定の定め等により、労働基準法の禁止事項を解除するこのような規定を「免罰規定」といいます。
その条件として、1か月単位の変形労働時間制は、定められた期間の労働日と各日の労働時間を「あらかじめ」定めます。
免罰の内容は「超えて労働させることができる」ですから、遵法に変形労働時間制が成立したときには、その範囲で1週40時間・1日8時間を超えることができます。
このため、
① 定めにより1日8時間を超えることとされた労働日の、変形労働時間制による労働時間の規制は、定められた時間を超えたときに違反になる。
例えば9時間と定めた労働日は、この変形労働時間制の適用を受ける労働者の日の法定労働時間が9時間になったのと同じ効果がある。
② 定めにより1週40時間を超えることとされた週の、変形労働時間制による労働時間の規制は、定められた時間を超えたときに違反になる。
例えば45時間と定めた週は、この変形労働時間制の適用を受ける労働者の週の法定労働時間が45時間になったのと同じ効果がある。
の、①②のようになります。
しかし、変形労働時間制の目的は「超えて労働させることができる」という免罰を与えることですから、法32条の1週40時間1日8時間を超えない日や週には何の効果も及ぼしません。
このため、
③ 定めにより1日8時間以内とされた労働日の、変形労働時間制による法定労働時間は8時間のまま。
例えば6時間と定めた労働日に、この変形労働時間制の適用を受ける労働者に適用される日の法定労働時間は8時間のまま。
④ 定めにより1週40時間以内とされた週の、変形労働時間制による法定労働時間は40時間のまま。
例えば32時間と定めた週に、この変形労働時間制の適用を受ける労働者に適用される週の法定労働時間は40時間のまま。
の、③④のようになります。
③④の理由により、変形の結果所定労働時間が6時間とされた日に8時間労働したり、変形の結果所定労働時間32時間とされた週に1日余分に出勤し8時間働いたとしても、それだけでは「所定労働時間」を超えた労働ではあっても、「法定労働時間」を超えた労働かどうかは分かりません。法定労働時間を超えた労働になるかどうかは、前に紹介したリーフレットにあったように、「日→週→変形期間全体」で検証する必要があります。(H6.3.31基発181号他)
R1労基2Cの状況は、6時間とされた日に8時間労働しても、同じ週にある日の労働時間が2時間減っていますから法定労働時間を超えないことは確実です。
、
おそらくですが、あなたの疑問の原因は、1か月や1年単位の変形労働時間制における、労働日や労働時間の指定の意味が理解できていなかったことにあります。
1か月単位の変形労働時間制は、労使協定の締結や就業規則の定めにより、1か月以内の一定の期間の労働日と各日の労働時間を1週間平均40時間を超えない範囲で「あたらかじめ」定めることにより、その範囲で特定の週の労働時間が40時間を超え、特定の日の労働時間が8時間を超えることを許す制度です。
それぞれ超えた週や日においては、定めた時間までは労働基準法の労働時間の違反になりません。
つまり変形労働時間制の適用を受ける労働者にとっては、その週や日の法定労働時間が定めた時間に変わったのと同じです。
1か月や1年単位の変形労働時間制における、労働日や各日の労働時間の指定は、このように特定された週や日の法定労働時間を書き換えるのと同じ効果があります。
あなたが書かれている「使用者が業務の都合によって任意に労働時間を変更するような制度はこれに該当しない(H113.31基発168号)」は、この部分に対する通達です。
一定の期間の労働日と各日の労働時間を「あらかじめ」定めることにより、特定の週や日の法定労働時間を書き換えたような効果が得られるのです。
あくまで「あらかじめ」です。変形労働時間制が動き出してから、どの日の法定労働時間がどうなるのかという、いわば「設計図」を書き換えてはいけませんよ、と、言っています。
このことと、変形労働時間制の実施中に、労働契約等により時間外労働等をさせることとは、何の関係もありません。
R1労基2Cの問題文は、「1日6時間とされていた日の労働時間を当日の業務の都合により8時間まで延長したが、その同一週内の1日10時間とされていた日の労働を8時間に短縮した」と言っているだけです。
これは、労働契約等に基づいて所定労働時間を超えた労働を命じ、その超えた時間を相殺するために短縮勤務を命じたと解釈すべき問題です。
もし、1か月単位の変形労働時間制の枠組みそのものを変更することを問う意図であるなら、問題文に例えば「定められた変形期間における各日、各週の労働時間を変更し」のような文言が入るはずです。
余談ですが、論点から離れ、実戦的な解法でいえば、このR1労基2Cの問題はどう解釈しても正になります。
労働契約等による時間外労働等と捉えれば、上記に書いたように正です。
問題文からはあり得ませんが、百歩譲って、1か月単位の変形労働時間制の枠組みそのものを変更することを問う意図と考えても、そのような変更は無効ですから、1か月単位の変形労働時間制の内容は元のままです。
そうであれば、6時間の日(法定労働時間は8時間)に8時間労働し、10時間の日(法定労働時間外を問われるのは10時間超)に8時間しか労働しなかったという事実を検討すればいいだけですから解答は正であり、結論はどちらも同じになります。
参考になった:1人
poo_zzzzz 2022-07-10 20:52:50