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厚生年金保険法/国民・厚生年金保険料について
tomo13 2023-05-05 11:14:56
国民年金および厚生年金の保険料についてわからないことがありましたので、ご質問させて頂きました。
国民年金保険料は令和5年の場合16,520円/月かと思います。対して厚生年金保険料の会社と労働者負担を合計しても16,104円/月です。
厚生年金加入の場合は、国民年金にも加入となるかと思いますので、感覚としては国民年金保険料より高くないとおかしいのでは?と思ってしまいます。
勉強は数カ月前に初めて、最近年金科目に入りました。来年の合格を目指しておりますが、数日前にこの点が気になり、勉強に身が入りません。年金事務所にも電話してみましたが、わからないといわれてしまいました。試験を受ける上であまり点数にはならないことかもしれませんが、気になってしょうがないのでご存じであれば教えて頂きたいです。よろしくお願いいたします。
> 厚生年金加入の場合は、国民年金にも加入となるかと思いますので、感覚としては国民年金保険料より高くないとおかしいのでは?と思ってしまいます。
感覚は理解できますが、社労士受験においてはこの感覚は捨ててください。
それが我が国の社会保険制度なのだ、としか申し上げることができません。
以下の記述においては改定率や再評価率等を考えませんのでご了解ください。
確かに、標準報酬月額88,000円の場合、厚生年金保険の保険料は16,104円で国民年金の約0.97倍であり、これに対する老齢基礎年金+老齢厚生年金の給付は老齢基礎年金の約1.3倍あります。
厚生年金保険の保険料は半額負担で、本人負担だけを考えれば8,052円ですから、ずいぶんお得感があります。
しかし、これはあくまで個人レベルでのお得感であり、支払われた保険料と給付の関係で言うと約0.97倍と約1.3倍です。
会社から受ける報酬が多くなると、このお得感は減少し、なくなります。
仮に標準報酬月額30万円の場合、厚生年金保険料は月54,900円で国民年金の約3.3倍ですが、これに対する老齢基礎年金+老齢厚生年金の給付は老齢基礎年金の約2倍しかありません。
これが標準報酬月額65万円になると、本人負担と会社負担を合わせた保険料は118,950円で国民年金の約7.2倍になりますが、将来の年金は約3.2倍しかありません。
厚生年金保険が得なのか?というと、そういうわけでもないのです。
本来、保険には給付反対給付均等の原則というものがあり、保険料と保険金の期待値は数学的に等しくないといけないのですが、社会保険ではこれが守られていない場合があります。
理由は、社会保険には所得再配分の機能が期待されているからです。簡単に言うと、所得が多い者から保険料を多く徴収し、その保険料を使って所得の少ない者に手厚い給付をします。
厚生年金保険は、保険料に対して報酬を反映させることで、この所得再配分の機能を担っています。
健康保険はもっと極端で、パートタイマーで働く方とその会社の社長とでは保険料が12倍くらい違う場合がありますが、社長が風邪を引いたからといって注射を12本打ってもらう訳ではありません。
我が国の社会保険は職域化されていて、公務員、会社員、自営業者等に分かれた制度になっていました。
昭和61年に基礎年金制度が施行され、国民年金が基礎年金となって、その上に共済や厚生年金が乗っかる形となり、さらに年金一元化で共済が厚生年金に統合されました。
厚生年金保険の被保険者である者は原則同時に国民年金の被保険者で、老齢や障害といった保険事故が起きた場合厚生年金と共に基礎年金を受けます。
しかし、厚生年金保険の被保険者は、国民年金の保険料を支払いません。
そうすると、厚生年金保険の被保険者分の基礎年金の給付費用はどうするのかというと、厚生年金保険の勘定から基礎年金勘定に対し毎年度基礎年金拠出金が支払われています。
厚生年金保険からの基礎年金拠出金は、令和3年度で約19兆円という莫大な額であり、同じ年度の基礎年金の支出総額は24.6兆円ですから、基礎年金の支出は厚生年金保険からの基礎年金拠出金が支えていると言って過言ではありません。
これを、厚生年金保険被保険者の、国民年金分の保険料と考えると、全てが分からなくなります。
第一、国民年金法94条の6は「第2号被保険者としての被保険者期間及び第3号被保険者としての被保険者期間については、政府は、保険料を徴収せず、被保険者は、保険料を納付することを要しない」と明記していますし、もし、保険料だというなら、被扶養配偶者がある厚生年金保険の被保険者の保険料は、被扶養配偶者がない者に対して高くなければ辻褄が合いません。
この厚生年金保険からの基礎年金拠出金は、あくまで基礎年金給付費用の負担であり、国民年金の保険料ではありません。
つまり、厚生年金保険の保険料は、国民年金の保険料とは関係がありません。
この厚生年金保険の保険料が国民年金の保険料と関係がないということと、厚生年金保険が報酬に比例する保険料負担の制度を持っていて報酬の低い者は給付に対して低額の保険料負担で済んでいるということが組み合わさって、お尋ねのような現象が起きています。
受験対策中に起きた疑問は、放置してはいけません。
テキストを広い範囲で読み返し、口述講義を聴き直してください。
その過程でさらに疑問が増えるようなら、場合によっては用語の定義に遡る必要があるかも知れません。
そして、そこまで復習して解決しない疑問は、付箋でも貼って後回しにしてください。
受験学習中に起きた疑問の解決を行政の窓口に頼るのも、あまり好ましいとは思えません。
疑問はすぐに解決する必要はなく、場合によっては、早急な解決が合格のために有害な場合もあります。
社労士受験の出題範囲は極めて広いために、受験勉強で一番必要なのは情報の絞り込みです。
テキストはその絞り込みを行った受験のための武器であり、その読み方を教えてくれるのが口述講義です。
受験のための重要性が低いことが載っていない、言わないことが、受験のための武器としての長所なのですから、そこにない内容の疑問で学習を止めるのは間違っています。
テキストと口述講義、そして過去問を往復し繰り返すトレーニングを重ねるうちに、受験のために解決が必要な疑問の多くは解決するか、疑問とは思えなくなって消滅します。
これは、トレーニングを重ねる内に視野が広くなって、見えていなかったものが見え、気づいていなかったことに気づくからです。
また、過去問を解き、きちんとテキストに戻っていれば、条文やテキストの説明が、どのようにして試験で出題され、さらに口述講義がそれをどのようにまとめ、省いているかが分かるため、重要性の低い部分が気にならなくなるからです。
合格に必要な知識と理解は、そうやってご自身で鍛えてこそ「強い」知識と理解になります。
この質問広場は、社労士受験に関することについて質問できる場ですが、誰でも回答ができる場でもあります。
言い換えれば、ここでの質問は、赤の他人の知識と時間を借りる行為です。
通学や添削付きの通信で学習される場合の校内は別にして、「気になり、勉強に身が入りません」や「気になってしょうがない」は、あなたが選ばれた学習方法から考えれば、甘えに過ぎないと思いますし、先にも書きましたが、受験用教材は「載っていないこと」に価値があるのですから、そこに引っかかるのは長所を潰す行為です。
疑問はチェックした上で解決しなければ後回しにし、学習トレーニングの進捗と共に解決または消滅するのを待ってください。
参考になった:1人
poo_zzzzz 2023-05-05 15:14:23
詳しく説明していただきありがとうございます。
自分の中で消化しきれてない部分はありますが、厚生年金と国民年金の保険料は関係がないことと厚生年金は報酬の少ない人は負担も少ないことは納得ができました。確かに国民年金の保険料は収入に関係ないですもんね…
甘えてしまいすみませんでした。納得ができたので点数を取ることを考えて、また教材に集中したいと思います。
お時間を割いていただきありがとうございました。
tomo13 2023-05-06 15:53:28
> 自分の中で消化しきれてない部分はありますが、
むしろ消化できなくて普通だと思います。また、今消化する必要もありません。
質問されたので一応答えましたが、先にも書いたとおり、受験に必要なのはテキストと口述講義、そして過去問です。
それらに載っていないことに時間を割く必要は原則ありません。
> 確かに国民年金の保険料は収入に関係ないですもんね
このような気づきは、テキストと過去問を往復する中で自然に身につきます。
その中で、解決する疑問もありますし、解決不要と判断できる疑問もあるはずです。
テキストと過去問を往復するトレーニングの中で、そうやって疑問を整理していってください。
> 甘えてしまいすみませんでした。
謝っていただく必要はありません。
私が甘えていると申し上げたのは、あなたがあなた自身に甘えていると申し上げたのです。
まじめに学習していれば多くの疑問が生じます。
しかしそれらの疑問は、テキストと過去問を往復するトレーニングの中で、順に整理すべきものです。
疑問が生じたから先に進めないというのは、あなたのあなた自身への甘えだと思いますよ。
参考になった:1人
poo_zzzzz 2023-05-06 22:59:47