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労災保険法/遺族補償年金 受給権者所在不明
kikyu 2023-11-05 11:10:39
当たり前のことかと思いますが、確認させてください。例えば、受給権者の妻が行方不明となり、翌月分以降の年金が順当に支給停止された場合、1年以上たたないと受給資格者の息子が行方不明の妻の支給停止の申請を行えないということは、その間の遺族補償年金を、行政は支払わなくてもよいということでしょうか?。その一年間、残された息子は生活保障される必要があるにもかかわらず、労災補償を行政がチャラにするように思え、違和感を覚えます。だた、さかのぼって所在不明翌月から妻が支給停止(きっとこれは、支分権の意ですよね)になるということは、その時点から、息子が先順位者として、遺族補償年金を受け取ることができるというような取り扱いなら納得がいくのですが(これは基本権の意と思うので、多分無理ですか)或いは、1年毎の現況届で明らかにならないうち、かつ、息子が支給手続きができる時期になるまで、妻へ振り込まれている遺族補償年金については、そのまま知らんぷりで停止せずという、粋な行政取り計らいでもあるのでしょうか(さすがにそれはないと思いますが、かといって、過誤払いの返還請求というのも厳しいなと感じ。)
散文的、また最後の方は全くの素人発想になって申し訳ありません。妻の支給停止の間、行政は労災補償の義務がないのかどうか知りたいと思いました。よろしくお願いします。
この質問広場は社労士受験のための場だと思いますので、実務のご相談は、それが必要であれば適切な窓口にされることをお勧めします。
以下は、受験対策として書きます。
法第16条の5第1項
遺族補償年金を受ける権利を有する者の所在が一年以上明らかでない場合には、当該遺族補償年金は、同順位者があるときは同順位者の、同順位者がないときは次順位者の申請によつて、その所在が明らかでない間、その支給を停止する。この場合において、同順位者がないときは、その間、次順位者を先順位者とする。
この後段に「この場合において、同順位者がないときは、その間、次順位者を先順位者とする。」とあります。
「その間」とは、前段との関係で「受給権者が所在不明で支給を停止されている間」です。
先順位者が支給停止の対象になるのですから、先順位者が受給権者であったことは明らかであり、「次順位者を先順位者とする」とは、次順位者を受給権者として扱うという意味です。
このため、先順位者の所在不明で法第16条の5第1項が適用される場合は、その間、次順位者が受給権者として年金を受給します。
質問された方は「その時点から、息子が先順位者として、遺族補償年金を受け取ることができるというような取り扱いなら納得がいくのですが」と書いておられますが、法第16条の5第1項後段が理解できていないのではないかと思います。
所在不明だった先順位者が現れ、申し立てて支給停止が解除された場合は「その間、次順位者を先順位者とする」の扱いも解除ですから、先順位者が再び受給権者になります。
所在不明で法第16条の5第1項の適用があった間の年金は、「支給停止」ですから、先順位者は受けることができない年金です。
次順位者に支給した年金はもちろんそのままですので、ケースによってはこの間に二重支給が発生している場合があります。
しかし、法12条の2の返還金債権の充当は、受給権者が死亡した場合に適用されますから、先順位者が所在不明の段階では適用がありません。
失踪宣告による死亡のみなしの場合を含み、先順位者の死亡が法的に確定した場合は、法12条の2の返還金債権の充当が適用されます。
このときに法10条の死亡の推定は行われません。法10条の死亡の推定は労働者の行方不明に対する条文であり、受給資格者の行方不明を対象としないからです。
所在不明が長く続くと、先順位者が法的に死亡となった時に、次順位者者がすでに年金の受給年齢を過ぎている場合があり、その場合も返還金債権の充当は行われません。
そのような場合、支給停止期間中に支給してしまった返還されるべき年金はあくまで先順位者の債務ですから、先順位者の死亡後のその債務は民法上の相続権者が相続するか、相続放棄することになります。
所在不明だった先順位者が現れ、申し立てて支給停止が解除された場合は、その時点から支給される先順位者への年金が、法12条1項の内払い処理の対象になり、一定期間の年金が支給されません。
上記のことは、相続の部分を除き、テキストに書かれていることばかりで、その組み合わせです。
部分にとらわれていては学習が進みません。
いま解決できない疑問は先に送り、テキストと口述講義、そして過去問からテキストに何度も戻るトレーニングを通じて合格に必要な力を養ってください。
トレーニング中に、受験に解決が必要な疑問の多くは、自然に解決するはずです。
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poo_zzzzz 2023-11-05 13:59:33
早々の御返信と詳細な解説、本当に有難うございました。ご指摘の通り、「この場合において、同順位者がないときは、その間、次順位者を先順位者とする。」のくだり、全く読み込めていませんでした。
遺族への補償が途切れないばかりか、「ケースによってはこの間に二重支給が発生している場合がある」という点、とても理解できました。後半の充当や内払いについても、解説加えてくださったこと感謝です。理解できた嬉しさと、関心の深まりを大切にして、来年8月まで頑張ります。またよろしくお願いします。有難うございました。
kikyu 2023-11-06 00:09:58
コメントありがとうございます。
「全く読み込めていませんでした。」ということは、質問される前にテキストはきちんと読んだ、という認識で良いですか?
そうであれば、「この場合において、同順位者がないときは、その間、次順位者を先順位者とする。」の部分をも読まれたはずです。
質問されたときに、この部分をどのように理解されていたのか、お聞かせいただきたいと思います。
もし、質問される直前に、テキストをきちんと読んでいなかった、と言われるなら、失礼ですが論外です。
何が論外かというと「疑問が起きたときに、ご自身の頭の中にすでにあった知識だけで考えて、質問された」という点です。
他人の力を借りようとする前に、まず、ご自身の頭の中の知識が正しいかどうか、ご自身の力の限りで検証されるのは当然のように思います。
これは、質問に答える者へのマナーでもありますが、それよりも、そういった確認が「受験学習そのもの」なのです。
疑問が起きたら、まずご自身の知識を疑い、誤っているのではないか、見落としがあるのではないか、他のか所に関連事項があるのではないかと考えて、テキストを今まで以上に丁寧に幅広く読み返すのが受験学習です。
これは非常に重要な点ですので、失礼を承知で尋ねさせていただきました。
受験学習は、懈怠と誤解と忘却との戦いです。
テキストを読み込むのは面倒くさいですし、意味を考えても分からないから嫌になります。
過去問を解いて、そのたびにテキストに戻って、どの科目のどの範囲が出題範囲になっていて、その問題での論点がどこかを確認し、テキストの表現と問題の表現を比較して「問われ方」を整理した上で、周辺にある、同じように論点になりそうな知識を問われ方を考えながら整理する作業も、なかなか大変です。
面倒くさくてサボりたくなるのは当然ですし、また、折角覚えたつもりでも、それが誤っていたり、しばらくしたら忘れていたりします。
しかし根気よくテキストと口述講義、そして過去問からテキストに何度も戻るトレーニングをしていれば、誤った知識は補正され、受験に必要な範囲の知識は定着します。
受験学習はそのような「トレーニング」ですから、疑問が生じたときにテキストに戻り、ご自身のその時点の力の及ぶ範囲で「テキストを使って知識を整理する」のは「やらなければならないこと」だと思います。
法第16条の5第1項だけではなく、過誤払いや内払いも、「テキストに書いてあること」です。想像する前に、なぜ確認しないのでしょうか?
ご自身の頭の中の知識を頼り、何の根拠も無い想像でそれに色づけしても、多くの場合受験の役には立ちません。
これは、「いろいろ考えること」がダメなのではありません。受験に役立てるには「想像する」ではなく「推論する」になる必要があり、それには基礎的な知識と広い範囲を俯瞰する力が必要です。
非常な労力が要るので、受験対策としてはほどほどが良いと思いますが・・・
受験対策としては、テキストと口述講義、そして過去問の範囲を離れず、その範囲でしっかり学習されることをお勧めします。
社労士試験の出題可能性のある範囲は広大で、テキストはその中から必要性の薄いか所をカットし、編集した、受験に特化した「武器」です。
「載っていないこと」は「武器」としての長所ですから、その長所をスポイルするような学習方法は、私はお勧めしません。
そして、その絞り込まれた範囲でも、間違えている部分、見落としている部分はたくさんあるのだと考えてください。
他人に質問して知識を得ても、上記のトレーニングを経ないのであれば、その知識はトリビアに過ぎません。
最後に、今回質問された内容を、あなたが受験学習としてスルーされたならされたで、私はそれで良いと思うのです。
法第16条の5第1項は択一式で頻出か所ですが、「この場合において、同順位者がないときは、その間、次順位者を先順位者とする」の部分は、私が覚えている限り、この20年くらいの本試験択一式で問われていないと思います。
このため、過去問を通じてテキストを読み返す場合も、「論点の隣にある知識」になります。
過去問で直接論点になっていませんから、テキストも、この部分が持つ意味である、「次順位者の申し出で過去に遡って先順位者の年金は支給停止され、支給停止であるから、その間に先順位者にすでに支払われた年金があっても誤支給で返還対象であり、支給停止時に遡って後順位者が先順位者(受給権者)になって年金を受給する。」という内容まで解説しているものは少ないと思います。
「論点の隣にある」上に、テキストにその意味の解説が無いなら、テキストと過去問を中心に学習する場合、見落としていてもおかしくないと思うのです。
私自身は、先に書いたように、「周辺にある、同じように論点になりそうな知識を問われ方を考えながら整理する作業」も必要だと思っていますが・・・
そのような視点でテキストを活用しないと、毎年ある「過去に問われたことの無い問題」への対応ができません。
そうやっても、「過去に問われたことの無い問題」への対応は十分とは言えませんが、何も無いところから対応を考えるより、過去に出た論点を参考にして、テキストを中心に今後出るかも知れない論点を考える方が現実的です。
でも、これはテキストの活用範囲の広狭の問題ですから、質問された方がこの部分に気づかずにスルーされていたとしたら、それについては私は何も思いません。
ただ、疑問が生じ、それが他人の力を借りて確認しなければならないほどあなたにとって重要なら、まずあなたご自身でテキストを丁寧に読み込んで確認するべきだと思います。
先にも書いたように、その場合は、そういった読み込みは、受験のためのトレーニングの一環としてしなければならないことになるからです。
参考になった:1人
poo_zzzzz 2023-11-07 08:14:21
先生、これほどの力を使ってお返事くださっていたことに、今日まで気が付かず、本当に申し訳ありませんでした。新たに質問させて頂こうと思い、ここを訪れ、気が付いた次第です。お詫びと御礼もっとお伝えしたいのですが、広場の趣旨とは違いますので一旦返信は控えます。国年で確認させていただきたい事を投稿します。よろしくお願い致します。
kikyu 2024-01-21 12:33:07