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選択式は、条文からの切り出しの場合と、制度の内容を問う問題の場合がありますが、前者の場合、条文が極端に改変されていることは少なく、その条文のキモとなる単語が落ちていることも少ないのです。

R5厚年選択式問1の問題文も、法100条の9第1項と第2項を繋げただけで、ほぼほぼ条文そのものです。
それに対し、法100条の5第1項は「厚生労働大臣は、前条第三項の規定により滞納処分等及び」から始まり「滞納処分等」が5回出てきますし、「処分の執行を免れる目的で」などの条件もありますし、委任についても「権限の全部又は一部」となっていますが、選択式の問1の問題文にはそれらの文言がありません。これらは択一式対策としても見落としたくない部分です。

選択式が条文からの切り出しである場合、極端な改変やキモとなる単語が落ちていることは少ないという基準で考え、慌てず、思い込みを避け、問題文の特徴をよく見て、ご自身の知識を突き合わせてキーワードを探すことがまず第一です。
条数だけが出ていて、何に対する問題かの手がかりが少ないような問題ではそれが特に重要ですし、R5厚年選択式問1に限って言うなら、慎重に読んで択一式で必要な知識も組み合わせ、例えば問題文の権限の委任が「全部又は一部」になっていないことにだけでも気づけば、それだけで間違えないと思います。

もう一つ、根拠が無く迷った場合は、奇をてらわない、ということです。
地方厚生局長及び地方厚生支局長のセットと、財務大臣及び国税庁長官のセットがあるとして、後者を選ぶ根拠があなたの中にあるなら、それは他の受験者に対するアドバンテージです。
でも、私が思うに、R5厚年選択式問1の場合、この問題文から後者を選ぶ根拠は見あたらなかったのではないでしょうか?

この時に、厚生労働大臣の権限の委任先に地方厚生局長があることを知らなかったのなら、択一式の段階での学習不足です。
また、解答肢にある地方厚生局長及び地方厚生支局長のセットを見落としていたなら、これは選択式対策の初歩的なミスで、問題と解答肢をきちんと読んでください、という対策になります。
しかし地方厚生局長及び地方厚生支局長のセットと、財務大臣及び国税庁長官のセットの両方に気づいていて、後者を選ぶ根拠がない場合はどうでしょう?

厚生労働大臣の権限に係る事務のほとんどは、法100条の4により機構に行わせることとされています。
これは大臣が権限を持ったまま「権限に係る事務を行わせる」のであって、権限そのものの委任ではありません。また「機構」は日本年金機構(法79条3項)ですが、日本年金機構理事長ではありません。
そして、厚生労働大臣が自ら権限を行う場合は、法100条の9によりその権限を地方厚生局長に委任(地方厚生支局長に再委任あり)することができます。
ただし、法100条の5による滞納処分の権限の委任は、地方厚生局長への委任から除かれています。
滞納処分も本来は機構が行う事務であり、機構は必要な場合に情報提供して大臣自ら滞納処分を行うよう求めることができます。
これを受けた厚生労働大臣は滞納処分を自ら行うこともできますが、財産隠しがある場合等要件を満たせば、法100条の5と政令(令4条の2の16)により財務大臣に権限の全部又は一部を委任(国税庁長官への再委任あり)することができます。これらも択一式の学習範囲です。
機構から大臣に投げ返してくる滞納処分は財産隠し等困難な案件なので、税務署のネットワークや捜査力等が求められるのです。

厚生労働大臣からの権限の委任を考えたとき、このように、地方厚生局長への委任範囲の方がずっと広いのですから、地方厚生局長及び地方厚生支局長のセットを選ぶ受験者が多いという想像はできるはずで、そんな場合に根拠無く財務大臣及び国税庁長官のセットを選んで失点すると、救済の途は閉ざされます。
仮に財務大臣及び国税庁長官が正解であった場合でも、正答率は下がる可能性があり救済の可能性が上がるため、合格に対する確率で言えば地方厚生局長及び地方厚生支局長を選ぶ方が助かる可能性が高いのです。
迷った場合は、多くの人が選びそうな肢を選ぶというのは、あいまいでとても消極的ですが、一つの対策です。

また、このような問題で悩んだ場合、もしCDEで確実に2点取る自信があるなら、地方厚生局長と国税庁長官、又は財務大臣と地方厚生支局長のセットを選びます。
確実に1点を失いますが、1点は取れる可能性が上がります。
同じ理屈で、例えば「太郎さん」がどちらかに入るが、どちらに入るか分からないような穴が2つある場合は、両方「太郎さん」にします。

最後に、本試験、特に選択式は「運」の要素が強いです。
運の要素は避けられない、という「諦め」の上で、できる限りのことをする、という姿勢が、落ち着きと、良い結果をもたらすような気がします。

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poo_zzzzz 2023-11-13 17:44:10

まさにおっしゃる通りで、地方厚生局長と国税庁長官、又は財務大臣と地方厚生支局長と選んで確実に1点を取りに行けばよかったと思います。
それと聞き忘れていたのですが、条文の番号まで覚える必要はなかったかということです。
そこまではおそらく必要ないと思いますが・・・。甘いでしょうか?

しつこいようですが、そこでつまづいていなければ合格はできていました。

いずれにせよ、ご丁寧にご回答を頂き大変ありがとうございます。
今後ともよろしくお願いいたします。

投稿内容を修正

kensyu  2023-11-13 21:44:02

> それと聞き忘れていたのですが、条文の番号まで覚える必要はなかったかということです。
条数は知っていれば便利ですが、受験対策として条数を覚える必要は薄いと思います。

> しつこいようですが、そこでつまづいていなければ合格はできていました。
私が、何度も修正し、字数を尽くしてお伝えしたかったことは、あなたに全く伝わっていないですね・・・残念です。

あなたがつまずいた原因は、学習内容に関していうと、選択式の条文の切り出しの問題についての研究不足です。

(1) 条文の切り出しの問題は、一部の省略はあっても大きな改変は少なくてほぼ条文通りのことが多く、キモとなる単語は問題文の中にあることが多い。
(2) R5択一式厚年問1には「滞納処分等」「納付義務者」「処分の執行を免れる目的」「その財産について隠ぺい」などの単語がなく、また、委任が「処分の権限の全部又は一部」となっていないなど、財務大臣への委任の条文(法100条の5第1項)の要素がない。

あなたは今に至って条数を覚えていなかったことを悔やんでおられますが、あなたがつまずいた原因は、
 ・択一式対策の段階で知っているべき上記の(2)の内容を
 ・選択式対策の研究で知っているべき(1)と合わせて実戦的に活用できなかったこと
にあります。条数は関係ありません。

上記(1)が理解できていれば、「条数以外の情報が無い=条数を知らないから分からない」ではなく、「択一式の知識で必要となるような条件などの要素が無いシンプルな条文からの切り出しなのだ」と考えるはずです。そして(2)の内容は、択一式対策の段階で知っていて、試験で活用されるべき要素のオンパレードです。財務大臣への委任にはこれだけ多くの要素があるのですから、(1)(2)を組合わせれば、条数など知らなくても、R5選択式厚年問1の問題が財務大臣への委任の問題ではないことはすぐに分かるはずです。

これらの理由で、あなたが良い結果を出せなかった理由は、条数を覚えていなかったことにあるのではありません。
「条数しか見えないから受験者の方は慌てるだろう」という出題者の罠にかかって、慌てたのではないですか?
学習内容は別にして、受験当日に問題を見て慌てられたのであれば、それが解けなかった第一の理由だと思います。
第二の理由は、選択式対策の研究が足らず、また、択一式での学習を選択式に活かす柔軟さに欠けていたためだと私は思います。



さらにいうと、事後処理も良くありません。
出題者は「何の問題であるか」を明示せず、受験者が条数しかないことで慌てることを狙っていたでしょうから、あなたの今考えておられることはまさに出題者の思う壺です。
いまも受験会場で「問題文を見たその時の気持ち」のまま、条数を気にしておられるようではまだこの壺の中におられるのであり、そこに進歩はありません。
必要なのは過去を見つめる後悔ではなく、今から先を考える冷静で緻密な自己分析です。
上に書いた(1)(2)は、試験後にあなたが、正解肢である法100条の9とあなたが引っかかった法100条の5第1項を、問題文と見比べ、間違えた原因を分析していれば容易に気付けたはずです。
そういった分析をしていれば、今この段階で、条数を気にしておられることもないはずです。



私は前回の回答の最後に「運」について書きました。
私は過去に10年間ほど対面で受験対策校の講師をしていて、全国模試で1桁の順位の方が合格できなかったり、直前の不慮の事態で受験できなかったりしたのを何人も見ました。
どんなに勉強しても、どんなに体調に気をつけても、運が悪いと良い結果に繋がらないことはあります。
運に対して後悔は何の役にも立ちません。
心静かに過去の運を受け入れて、そして今後も運に左右されることは覚悟して、しかし、ご自身が今できることはしっかりとすることです。



また、複数年受験だからという理由で、新たにするべきこともありません。
社労士試験は、1年目にしなければならない学習と同じ内容を、面倒くさがらずにしっかり行えば、遠からず良い結果に繋がる試験です。
複数年であるためにしなければならないことは何か新しいことでは無く、「1年目からするべきことでしていなかったことは何か」を考え、1年目からしなければならないことの範囲でトレーニングを重ねることです。

私は過去に10年くらい受験対策校の講師をしていて、その後ここで15年くらい受験生の方のご質問に答えていますが、「そこでつまづいていなければ合格はできていた」という意識は有害であることが多くあるように思います。
「今年はこれが足りなかった」という認識はよいですが、「それがなければ合格していた」という意識は視野を狭くし、「2年目、3年目の学習」になりがちです。
社労士試験に出題される範囲は広大で、どんなに学習していても網羅できることはまずありません。
今年の「それがなければ」の「それ」はたまたまで、今後も数多くの異なる「それ」が出題されます。
それが合否を分けるかどうかについては、避けられない「運」の要素もあります。
しかし、日々のトレーニングに費やす努力が「やるべきことはやった」という安心をもたらし、その安心が、実戦の場でいろいろな要素を広く組み合わせて考える余裕をくれます。
「私が知らないんだから誰も知らないはず」という自信が、慌てる心を鎮め、仮に解けなくても、合格のための対策を考える余裕をくれます。
過去の実績は忘れて、2年目以降であっても、もういちど初学のつもりで基礎からしっかり積み上げてください。

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poo_zzzzz 2023-11-14 10:49:49

多くの字数をかけてご説明頂きありがとうございました。

来年の選択式講座に今回の話の内容を盛り込んでみても面白いかもしれませんね。

ついでに自己紹介をさせていただきますが、私は第4号厚生年金被保険者ですが、

教員でない非正規雇用者です。

今後ともよろしくお願いいたします。

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kensyu  2023-11-15 00:24:32

> 来年の選択式講座に今回の話の内容を盛り込んでみても面白いかもしれませんね。

これはどういう意味でしょう?
この質問広場は、社労士試験に関することであれば誰でも質問でき、誰でも回答できる場です。
やま予備のスタッフさんが回答される場ではありません。
私もやま予備さんのスタッフではありません。
昔受験対策校講師だった開業社労士です。
講座に対するご希望であれば、ここではなく、やま予備の事務局さんにされた方が良いと思います。

また、あなたがどんな方かについてもあまり興味がありません。
どんな方に対しても試験は平等です。
私は、ここで質問された方が合格に近づくことができるよう、私なりに考えて書いているだけです。

参考になった:1

poo_zzzzz 2023-11-15 06:06:15

山川先生直々にご回答くださっているものと勘違いし大変失礼いたしました。

さて思い出しましたが先般の選択式試験での労働一般はたまたま運がよくて3点取れましたので
結局のところ運が悪くて不合格になったとは言い切れず、実力がなかったということは否めません。

いろいろ厳しいことを書かれていますが、真摯に受け止めていきたいと思います。

投稿内容を修正

kensyu  2023-11-19 00:05:50

> 結局のところ運が悪くて不合格になったとは言い切れず、実力がなかったということは否めません。

そうですね。
(1) 条数しかない問題に慌てて、条数しかない問題ならば、逆に条件がない条文からの出題であるのではないか?ということに思いが至らなかったこと。
(2) 上記(1)と合わせて、財務大臣への委任には数多くの条件があったということに思いが至らなかったこと。
(3) 得点できなかった原因は上記(1)(2)であるのに、試験後に至っても得点できなかった原因を、条数を知らなかったことだと考えておられること。
この3点から、あなたはトレーニング不足であったし、質問されたときも同じ状態であったのだと私は思います。
私が厳しく書いたのはこのためです。過去はともかくとして、次のためにしなければならないことを考えてください。
必要なのは、コツを知ることではなく、ご自身の解答内容を客観的に分析し、過去問の出題傾向を分析し、トレーニングを重ねることです。

選択式問題は、過去の出題の焼き直しが少ないことから、過去問をあまりやらない方も多いんですね・・・
でも、「どこが出る」だけではなく「どのように出る」を知る上で、過去の問題はあたっておく必要があると思います。

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参考になった:2

poo_zzzzz 2023-11-19 00:29:34



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