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厚生年金保険法/令和1年 厚生年金保険法 問5
akichika 2024-02-13 21:57:33
適用事業所以外の事業所に使用される70歳以上の者であって、老齢厚生年金、国民年金法による老齢基礎年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって政令で定める給付の受給権を有しないもの(厚生年金保険法第12条各号に該当する者を除く。)が高齢任意加入の申出をした場合は、厚生労働大臣の認可があった日に被保険者の資格を取得する。
上記問題に関して
「事業主の同意」が問題文に記載されてないのですが解答が〇となっています。
高齢任意加入の申出をするには「事業主の同意」がすでに得られていることが前提?と考えてみたのですが、ご教授いただければ幸いです。
> 高齢任意加入の申出をするには「事業主の同意」がすでに得られていることが前提?と考えてみたのですが、ご教授いただければ幸いです。
良いお考えですね。
受験対策的には、「結果として、そういう問題であった」ということです。
過去問では、法令的に見て不備がある(またはあるように見える)グレーな問題が散見されます。
そのようなグレーな問題は、5肢の中の相対評価で正誤を判断することになります。
つまり、択一式の受験対策とは、法令的に正しいか間違っているかを判断することではありません。
題意をくみ取り、5肢の中で、どれを正と評価し、どれを誤と評価するのかを判断する力を養うのが、択一式の対策です。
正直、個数問題は、法令的に正誤がはっきり判断できる問題であって欲しいですが・・・
なお、このR1厚年問5Eは、法令的に見ると、条文の切り出しに近いです。
法附則4条の5第1項前段
適用事業所以外の事業所に使用される70歳以上の者であって、附則第4条の3第1項に規定する政令で定める給付の受給権を有しないものは、厚生労働大臣の認可を受けて、被保険者となることができる。
法附則4条の5第1項後段
この場合において、第10条第2項、第11条、第12条、第13条第2項、第14条、第18条第1項ただし書、第27条、第29条、第30条、第102条第1項(第1号及び第2号に限る。)及び第104条の規定を準用する。
上記のように、お尋ねの問題文は、適用除外に関するかっこ書きを除けば、法附則4条の5第1項前段とそっくりでしょう?
お尋ねの事業主の同意は、後段にある法10条2項の準用により要件となりますが、前段は「被保険者となることができる。」で完結していますよね?
ですから、「条文からの切り出しなんだよ」と言われると、正と評価することになります。
「いや、それでも、要件が欠けていて、法令的に正しくないから」というお気持ちは分かります。
でも、例えば、お尋ねの問題に「事業主の同意」があり、しかし法12条に関するかっこ書きが無いとしたら、あなたは何の疑問も持たずにそれを正だと考えるのではないですか?
しかし、法12条の適用除外に該当する者は被保険者になりませんから、そのような問題も、「法令的に要件が欠けている」と言えなくはないのです。
要件の欠け方に濃淡はありますけどね。
逆に「適用事業所以外の事業所に使用される70歳以上の者が高齢任意加入の申出をした場合は、厚生労働大臣の認可があった日に被保険者の資格を取得する。」という問題はどうですか?
ここまで単純化すると、正に見えませんか?
ここまで単純だと、論点が「厚生労働大臣の認可があった日に被保険者の資格を取得する」にあることが明らかで、正と評価しやすくなりますよね?
でも、この問題は、お尋ねの問題から「であって、老齢厚生年金、国民年金法による老齢基礎年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって政令で定める給付の受給権を有しないもの(厚生年金保険法第12条各号に該当する者を除く。)」を除いただけです。
必要な要件を除いて、それで誤に見えなくなるのは、本当はおかしいでしょう?
つまり、法令的に見て完全な試験問題を作るのは難しい(論点によっては非常に難しく、又は作問不可能)のです。
ですから、問題文には穴があるかも知れない、という意識は必要です。
でも、逆にその穴が論点である場合もあります。
このため、題意をくみ取り、5肢の中で、どれを正と評価し、どれを誤と評価するのかを判断する力を養うのが、択一式の受験対策なのです。
できれば、出題時の5肢択一の状態で問題文を参照することができる環境を持つ方が良いと思います。
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poo_zzzzz 2024-02-14 15:56:10
他の問題、使用している教科書を比較確認をしたもののしばらくの間疑問を持った状態のままであったのですが、ご説明いただいたおかげで理解することができました。解説に載っていない疑問のある問題に関しては手持ちの教科書や他の問題との比較のみならず〇条〇項を含め確認するべきであると感じました。
また、他の選択肢と比較しつつ解答を見つけるということもおっしゃるように重要ですね。
実際私は1問1答正誤問題の演習中心で行っていますので、そういった学習方法量も増やす必要があると感じ取れました。
深いご説明をいただくとまた興味が深まり、「なるほど」という気持ちがわき、改めて勉強に励むことができそうです。
ご丁寧な説明ありがとうございました。
akichika 2024-02-14 18:25:51
> 解説に載っていない疑問のある問題に関しては手持ちの教科書や他の問題との比較のみならず〇条〇項を含め確認するべきであると感じました。
これは疑問の解決に繋がるかも知れませんが、私は一般的にお勧めしません。
条文を確認するなと言っているのではありません。
「その疑問はその場で解決が必要ですか?」と申し上げています。
疑問の残る問題は数多くあります。
でも、過去問の場合は、その問題がそのように出題された、ということが重要です。
ですから、疑問があっても、テキストを復習した上でそのまま受け入れて、付箋でも貼って先に進める方が受験対策としては良いと思います。
過去問と口述講義を正しく使って、テキストの内容の理解と、OUTPUTへの実戦的な応用力が高まれば、受験対策として解決しなければならない疑問の多くは解決します。
今回の疑問の場合「事業主の同意」が、必要な要件であることは明らかです。
実際、この問題より前に出題された適用事業所以外の高齢任意加入被保険者の問題には「事業主の同意」があります。
お尋ねの問題文は条文からの切り出しに近いですが、それでも要件が欠けていることには変わりがありません。
このような疑問に対し、その問題単独で「正になる理由」を探すことは、多くの場合不毛です。
「あれ、これで○なの?」という疑問点は、テキストで内容を復習しご自身の知識を確かめた上でそのまま受け入れ、必要であれば出題時の問題からその疑問点が5肢のバランスの中で○と扱われた状況を確認します。
そういった対応をしながらテキストと過去問を往復するトレーニングを繰り返すことで、疑問のある問題を相対的に正と判断する加減がわかってきますから、今回のような疑問は、解決はしないけど受験対策としては気にならなくなってくるはずです。
仮に5肢のバランスを確認しないまま進めても、「こんな問題でも○になることがあるんだ」「この問題では×の論点なんだ」と、相対的に考えることを素直に受け入れることができれば大丈夫だと思います。
過去問の内容に疑問を持つのは良いことです。
テキストを確認し、必要であれば知識を補正し、さらには今まで得ていなかった周辺の知識をテキストで得ることは有益です。
それで疑問が解決すれば、それで良いですが、解決しなかったとき、大切なのはその疑問の解決ではなく「こんな問題が出るんだ」という素直な受け入れではないかと思います。
受け入れた上での過去問とテキストの往復が、実戦的な解決力を生むように思うのです。
私は、受験対策はそのようなものだと思っています。
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poo_zzzzz 2024-02-14 20:35:45
ありがとうございます。
そのような勉強の進め方でやっていきたいと思います。
>この問題より前に出題された適用事業所以外の高齢任意加入被保険者の問題には「事業主の同意」があります。
→他の問題を行い「事業主の同意」は必要と理解したため「事業主の同意」が書かれていなくても〇なのだろうか、それとも何か見落としているのだろうか?当日類似問題が出た場合は〇?×?どちらにすればよい?と混乱し、問題をやる度にどっちだっけ?を繰り返し、何度も間違いています。
今回その内容がクリアになったので1つ前進した気がします。
改めてありがとうございます。
akichika 2024-02-14 20:44:30
> 問題をやる度にどっちだっけ?を繰り返し、何度も間違いています。
もうお分かりだと思いますが、このような迷いには意味がありません。
誤となる論点の一つとして「必要な要素が抜けている」というものがあります。
そのような肢は、抜けている要素にもよりますが、「正にも誤にもなる可能性があるグレーな肢」であることが多いのです。
このため、正と判断して解答が誤であったとしても、誤と判断して解答が正であったとしても、おかしくありません。
必要なのは「何が、どのように抜けているのか」を、テキストに照らして正確に理解できていることです。
その理解の上で、正と判断するのか、誤と判断するのかは、他の4肢とのバランスで考えます。
私がしばしば「択一式の受験対策とは、法令的に正しいか間違っているかを判断することではありません。」というのは、このためです。
法令の内容を正しく理解した上で、題意をくみ取り、相対的な判断で「選ぶべき肢」を選ぶことができるように、トレーニングするのが択一式の受験対策です。
でも、受験中にグレーだと感じる肢が、合否を分けるほどいくつも出るわけではありません。
で、あれば、「相対的な判断のトレーニング」を捨てる、という手があります。五肢択一形式のトレーニングをあまりしない学習法です。
今現在、問題集も五肢択一形式のものは少ないですから、多くの方が五肢択一形式のトレーニングをあまりされていないように思います。
この場合でも、迷うような問題が出た場合は、そのつど他の4肢と比較判断して解答肢を選べばよく、仮にそれで数点失点しても、法令の内容が受験対策として十分理解できていれば、合格は可能であると思います。
いずれにせよ、冒頭に書いたような迷いを持つことにも、あらかじめ「こちら」と決める事にも、意味がありません。
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poo_zzzzz 2024-02-15 11:17:42