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労働基準法/賠償予定の禁止 (法16条)
rikky 2024-09-29 17:22:48
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。とあるが、労働契約に基づく労働義務を労働者が履行しない場合に労働者本人若しくは親権者又は身元保証人の義務として課せられるものであり、労働義務不履行があれば、それによる損害発生の有無にかかわらず、使用者は約定の違約金を取り立てることができる旨を定めたものである。この解釈は違約金を具体的に定めることはできないが、債務不履行があれば違約金の取り立てが可能ということか。
これは、ヤマヨビさんのテキスト等、教材の中の記述に対するご質問でしょうか?
質問広場の質問画面に、赤字で「※教材についてのご相談やご質問、教材の配送状況のお問合せなどは、「質問広場」への投稿ではなく、直接事務局にメールにてご連絡いただきますよう、お願いいたします。」とあります。
このため、もしヤマヨビさんの教材の中の記述に対するご質問であれば、この質問広場ではなく、ヤマヨビの事務局さんに対して質問されるべきだと考えます。
私は特定の教材を見ていませんので、以下は、ご質問を離れ、法令と過去問に基づいての解説です。
民法420条
当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。
2 賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。
3 違約金は、賠償額の予定と推定する。
労働基準法16条
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
上記の民法420条をみてお分かりのように、本来は契約において、契約の当事者は「損害賠償の額を予定」や「違約金」を自由に定めることができます。
しかし、労働基準法16条は、民法420条に対する特別法の規定として、これらを、「労働契約の場合において」禁じているのです。
「違約金」は契約不履行に際し債務者が債権者に対して支払う金銭で、一般的には民法420条3項にあるように「賠償額の予定」として定められます。
「違約金」は、契約不履行による不利益からの短期間での保護を目的に、「契約不履行があった」という事実があれば、それによる損害の有無や程度に関係なく、一定額の金銭の支払いをさせるものです。
さて、過去問です。
令和3年労基・安衛選択式から抜粋
賠償予定の禁止を定める労働基準法第16条における「違約金」とは、労働契約に基づく労働義務を労働者が履行しない場合に労働者本人若しくは親権者又は [ A ] の義務として課せられるものをいう。
この過去問は、上記の民法420条と法16条の関係を踏まえて作問されたものです。[A]は「身元保証人」です。
労働基準法16条は違約金の定めを禁止していますから、この問題は「労働基準法16条で禁止されている違約金とは何であるか?」という問題である理解が、まず前提です。
問題文にあるように、労働基準法16条において禁止される「違約金」は「労働契約に基づく労働義務を労働者が履行しない場合」に課せられる金銭です。
問題文にはありませんが、禁止されているのは「額の予定」です。
昭和22年の発基17号にあるように「本条は、金額を予定することを禁止するのであって、現実に生じた損害について賠償を請求することを禁止する趣旨ではないこと。」ですからね。
このため、「違約金」等の名称が付いていても、損害の程度に合わせて額が算定されることが明らかなものや、単に損害賠償額の限度額を定めただけであることが明らかなものや、労働基準法91条の減給の制裁として法の定める範囲で行われることが明らかなものは、労働基準法16条が禁じる「違約金」や「損害賠償額の予定」になりません。
ここからは、質問された方の文章から私が考えた推測です。
仮にテキストでこの部分を解説するとするなら、上記の法令での「違約金」の位置づけや、労働基準法16条の趣旨が「金額の予定の禁止」であることや、「違約金」等の名称が付いていても労働基準法16条に抵触しない場合などを挙げると思います。
もし、それらがあった後で、質問された方が書かれているように、「労働契約に基づく労働義務を労働者が履行しない場合に労働者本人若しくは親権者又は身元保証人の義務として課せられるものであり、労働義務不履行があれば、それによる損害発生の有無にかかわらず、使用者は約定の違約金を取り立てることができる旨を定めたものである。」と書かれているのであれば、それは「債務不履行であれば違約金であっても許される」ということを書かれているのでは無く、その真逆の、「労働基準法16条において禁止される違約金とはこういうものだ」ということを書かれているように思います。
令和3年選択式の出題を踏まえて、「労働基準法16条において禁止される「違約金」の意味」を書かれているように思いますが、そのようには読めないのでしょうか?
質問された方が書かれている「労働契約に基づく労働義務を労働者が履行しない場合に労働者本人若しくは親権者又は身元保証人の義務として課せられるものであり、労働義務不履行があれば、それによる損害発生の有無にかかわらず、使用者は約定の違約金を取り立てることができる旨を定めたものである。」は、労働基準法16条が禁止している違約金の性質そのものですから、もし、そのように読めないのであり、質問された方の読み方に問題が無いのであれば、教材の編集に問題があると思います。
そうであれば、どこの教材かも分かりませんが、教材の制作者に質問されるべきだと思いますし、もし、それがヤマヨビさんであるなら、冒頭に書いたように事務局さんに問合せをしてください。
参考になった:5人
poo_zzzzz 2024-09-29 20:50:22