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労災保険法/障害補償一時金 再発の加重
mandolao 2016-12-18 17:40:47
自然経過による再発の場合「加重」の取扱いというのは
障害補償一時金を従前の受給権消滅(改定)の場合との
違いを試験対策上どう理解するのが一番良いのかお教えください。
つまり、「再発」と「自然的経過」の違いを理解する事になるという事でしょうか?
実際に「加重」の方は「異なるアクシデントで」というキーワードとして
理解できるのですが・・・。
(1) 自然経過による障害の状態の変化は、障害補償給付の受給権者において、再発又は新たな被災を経ずに、自然に障害の状態が変化することです。
(2) 再発は、治ゆして症状が固定し、療養の必要がなくなって障害(補償)給付を受給した者が、その後新たな被災をすることなく、再び同一の傷病について療養の必要が生じたものです。
(3) 加重は、障害補償給付の受給権者に、新たに業務又は通勤による被災があり、従前の障害と同一の部位に新たな障害が生じて、結果として障害の程度が重くなったものです。
例を挙げて説明しましょう。
業務災害によって右腕の肘が曲げ伸ばししにくくなり、右肘関節の運動可能領域が健常な側に比較して4分の3以下となって12級の障害補償一時金を受けた者が、その後、右肘の運動可能領域が健常な側に比較して2分の1以下(障害等級10級)に悪化した場合を考えます。
この場合、右肘の悪化が、再発又は新たな被災を経ない自然経過(例えば本人が必要なリハビリを怠ったために腕の腱が固まり、可動域が狭くなった)によるものであれば、これは(1)です。この場合は、障害補償一時金の受給者であれば何も起きません。
しかし、障害の原因となった業務災害による腕の炎症が、新たな被災をすることなく再発し、療養の必要があって療養補償給付を受け、そして再治ゆした結果、右肘の運動可能領域が2分の1以下に狭くなったのであれば、これは(2)の再発による障害等級の変更です。
そして12級の障害補償一時金を受けた者が、新たな業務災害で同じ右肘に被災し、療養の必要があって療養補償給付を受け、そして治ゆした結果、右肘の運動可能領域が2分の1以下に狭くなったのであれば、これは(3)の加重です。
先に(3)の加重の場合をみていきましょう。
(3)の加重の場合は、新たに障害等級10級の障害補償一時金が支給されます。
ただし、この者はすでに12級の障害を得ていたのですから、この者が2回目の事故で失った「労働稼得能力」は、12級と10級の差の分だけです。
障害補償給付の目的は労働者が失った労働稼得能力の填補ですから、この者の障害等級10級の障害補償一時金は、10級の額と12級の額の差額分だけになります。
具体的に見ましょう。
(3)の場合は被災が2回です。この場合すでに支給された12級の障害補償一時金は、1回目の被災の事業所の給付基礎日額で計算されています。
仮に1回目の被災の事業所の給付基礎日額が10,000円だとすれば、12級の障害補償一時金は1,560,000円です。
そして新たに支給される10級の障害補償一時金は、2回目の被災の事業所の給付基礎日額で計算した、10級と12級の差額が支給されます。
仮に2回目の被災の事業所の給付基礎日額が8,000円だとすれば、2回目の被災前が12級であったものが2回目の被災で10級になったことにより、2回目の被災の事業所の給付基礎日額による10級と12級の差額である、8,000円×302日-8,000円×156日=1,168,000円の10級の障害補償一時金を受けることになります。
差額計算が、引かれる側も引く側も、2回目の被災の事業所の給付基礎日額であることに注意してください。
この者は結果的に、1,560,000円+1,168,000円=2,728,000円の障害補償一時金を受けることになります。
次に(2)の再発による障害等級の変更をみていきましょう。
(2)の再発による障害等級の変更の場合も、適用されるルールは加重の準用です。
ただ、(2)の場合は、被災が1回です。ですから差額計算に使う給付基礎日額は、同じ被災事業所での給付基礎日額です。
例えば給付基礎日額が10,000円なら、この者は先に10,000円×156日=1,560,000円の12級の障害補償一時金を受けています。
そして再発と再治ゆで障害等級が10級に変更されたことにより、10,000円×302日-10,000円×156日=1,460,000円の差額分の障害補償一時金を新たに受けます。
この者は結果的に、1,560,000円+1,460,000円=3,020,000円の障害補償一時金を受けることになります。
これは、本来の給付基礎日額10,000円の10級の障害補償一時金の額と同じです。
(1)の自然経過による障害の状態の変化の場合、上の例では何も起きないので説明は省きますが、もともと障害(補償)一時金ではなく、障害(補償)年金の受給権者に、例えば自然経過による障害の状態の悪化が起きた場合は、新たな障害の程度に応じた障害(補償)年金が支給され、従前の障害(補償)年金の受給権は消滅します。
その他、各種事例でどうなるかは、上の例とテキストを見て考えてください。
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poo_zzzzz 2016-12-19 02:18:50
poo_zzzzz様 いつも丁寧なご回答恐縮致しております。 有難うございます。
おおむね理解はすすみましたが、一点だけ。(1)の自然経過ご説明中の障害補償給付の部分15条の2では敢えて、
障害補償年金(其の内、一時金はこの規定適用せず。)とあると思いますが、ご説明だから、両方(年金・一時金)含めての表現だったと捉えたらよいでしょうか?
それともどこか条文・通達などに自然的経過の定義で、障害補償給付という文言で明文化されていますか?
(1)自然経過による障害の状態の変化は、「障害補償給付」の受給権者において、・・・。
もし、ご面倒でなければご回答願います。
mandolao 2016-12-19 20:20:06
あれ、慌てて回答を読まれたのかな?
私の前回の回答の内容は、
① 障害補償給付の受給者の障害の状態が変化した場合の、全体的なパターンの説明
② ご質問の中心が障害補償一時金であるように見えたので、従前の障害補償給付が障害補償一時金の場合に絞った具体例での説明
③ 補足的に、従前の障害補償給付が障害補償年金の場合に言及
のように構成されています。
質問された方は、③の部分(先の回答の最後の部分)を、読み飛ばされているのではありませんか?
もう一度、初めから終わりまで先の回答を読み直してください。
さて、念のため、再質問の部分に絞って説明します。
(1) 自然経過による障害の状態の変化は、障害補償給付の受給権者において、再発又は新たな被災を経ずに、自然に障害の状態が変化することです。
質問者の方は、先の私の回答の上記(1)が、法15条の2の内容のことだと思われたようですが、そうではありません。
法令に書かれていない、法15条の2の前提となる「自然経過による障害の状態の変化」とは何か?について書いているのです。
再発又は新たな被災を経ずに、自然に障害の状態が変化することですね。
このことは、従前の障害補償給付の内容が、障害補償年金であっても、障害補償一時金であっても、同じです。
ただ、自然経過による障害の状態の変化があったときに、従前の障害補償給付の内容が、障害補償年金であった場合と、障害補償一時金であった場合とで、その後の扱いが違うのです。
自然経過による障害の状態の変化があったときに、従前の障害補償給付が障害補償年金であった場合は、法15条の2の適用があります。
自然経過による障害の状態の変化があったときに、従前の障害補償給付が障害補償一時金であった場合については、法令に書かれていません。
書かれていないので、従前の障害補償給付が障害補償一時金であった場合は、何も起きないのです。
なお、最初の質問に書かれている「自然経過による再発」というのは、「再発していない場合の再発」という意味ですから、あり得ないですよ。
もうおわかりかと思いますが、先の回答の(1)(2)(3)に書かれているパターンをしっかり理解した上で、テキストを読み返してください。
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poo_zzzzz 2016-12-20 10:32:31
poo_zzzzz様 有難うございます。
聞きたかったのは、やはり根拠だったもので、「自然的経過」について、法か、通達かor言葉のご説明だったのか判別がつきにくかったのものですから。
言葉の説明としていただけたとの事なので、納得です。
再発については私が考え違いしておりました。 自然経過の言葉の意味の概念を理解していませんでした。
度重なる愚問にお答えいただきまして有難うございます。
mandolao
mandolao 2016-12-20 15:28:16
なるほど、(1)で書いた内容の根拠がお知りになりたかっただけなのですか。
それならば、例えば「「(1) 自然経過による障害の状態の変化は、障害補償給付の受給権者において、再発又は新たな被災を経ずに、自然に障害の状態が変化することです。」と書いていますが、この表現の根拠は条文か通達にあるのでしょうか?」のように、簡単に訊いていただければ、もっと簡単に回答できました。
私は、(1)(2)(3)で、障害の状態が変化する場合にどのようなケースがあり、それがテキスト等でどのように呼ばれているかを説明しようとしていますから、法令や通達に載っていない部分があり、また、説明のために表現も変えています。
このため年金に限定せず、障害補償給付全体を扱い、用語についても、例えば「変更」という結果に対する用語ではなく「変化」という出来事を意味する用語を使い、かつ、2度目の労災事故を明確にするために「傷病」と書かずに「被災」と書きました。
私が(1)で書いたように、「どのようにして障害の状態が変化した場合を自然経過と呼ぶのか?」を、直接定義する法令や通達はないのですが、法15条の2の障害補償年金の変更についての通達の中に、「どのような状態で起きた変更が法15条の2の対象なのか?」について言及した部分があります。(S41.1.31基発73号)
通達には「障害の程度が新たな傷病によらず、又は傷病の再発によらず、自然的に変更した場合には」と書かれています。
私の1回目の回答の(1)(2)(3)は、先に書いたように、障害の状態が変化する場合にどのようなケースがあり、それがテキスト等でどのように呼ばれているかを説明しようとしていますから、それに対して、その後の段階の事柄である、障害補償年金の変更の扱いについて書かれている法15条の2を引き合いに出して、それと比較して私の書いたことについて根拠を求められても、「根拠がお訊きになりたいだけなのだ」とは、とても思えませんでした。
しかも「あると思いますが」と書かれている法15条の2の内容も条文とは違います。
比較する対象もポイントが違うし、比較で書かれた内容も違っていますから、「間違って理解しておられるから、説明し直そう」になってしまったのです。
正直言うと、最初のご質問も、2回目のご質問も、何を書いておられるのか、よく分からなかったのです。
2回目のご質問では「15条の2では敢えて、障害補償年金(其の内、一時金はこの規定適用せず。)とあると思いますが」とありますが、法15条の2の条文にはこんなことは書いていません。
法15条の2は、障害補償年金の障害の程度の変更についてのみ書かれています。
障害補償一時金に適用するかどうかも含め、障害補償一時金のことには、法15条の2は全く触れていません。
また、1回目のご質問でも「自然経過による再発」や、「障害補償一時金を従前の受給権消滅(改定)の場合」のように、正直言ってどのように受け取れば良いのかわからないことを書かれています。
数回、あなたのご質問に回答して心配しているのですが、やま予備に限らず、講師の口述講義をきちんと聴いておられますか?
理解にかなり癖があり、間違いも多いように思います。
テキストだけで自己流に解釈されているように思うので、講師の口述講義をきちんと聴いておられないのではないかと心配です。
短期間で社労士試験に合格するには、例え遠回りのように見えても、講師の口述講義をきちんと聴き、テキストを精読することが必要です。
もうすでに十分にそれをしておられるのであれば失礼をお詫びしますが、もし、それをしておられないのであれば、根拠を気にするのは、その後で十分です。
参考になった:4人
poo_zzzzz 2016-12-20 23:17:04