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mmmgkさん、こんにちは。

この問題においては、「履行の提供」という言葉の意味の理解は問題の本質とはあまり関係がありませんので、後回しにします。
まず、改めてこの問題の解説を補足しておきます。

さて、本問では何が問われていますか?
本問では、問題文の末尾にある通り、「Aが相当の期間を定めて履行を催告したうえで、Bとの売買契約を解除できるかどうか」が問われています。
そして、Aが相当の期間を定めて履行を催告したうえで、Bとの売買契約を解除するためには、Bに履行遅滞が成立する必要があります。

では、Bに履行遅滞は成立しているでしょうか。
Bは、決済約定日に代金債務につき弁済の提供をしていません。
すなわち、履行期に代金を支払っていないわけですから、履行遅滞が成立しているように見えます(金銭債務なので、Bの責めに帰すべき事由は不要)。
一つだけ問題となるのが、Bの代金支払債務はAの所有権移転登記手続と同時履行の関係となっているため、Bに同時履行の抗弁権が認められ、Bが履行期に弁済しなくても履行遅滞が成立しない可能性がある点です。
しかし、決済約定日に、Aが所有権移転登記手続を行う債務の履行の提供をした旨、問題文中に明記されており、その時点でBの同時履行の抗弁権は消滅しています。
なぜなら、同時履行の抗弁権は「相手が債務の履行を提供するまでは」自己の債務の履行を拒むことができる権利に過ぎないからです。
よって、Bに債務不履行は成立します。

したがって、Aは相当の期間を定めて履行を催告したうえで、Bとの売買契約を解除できるので◯です。

要するに、この問題は債務不履行→契約解除の流れを、上記のように逆算しながら筋立てて考えることができるかどうかが試されているのです。

〉履行の提供という用語が、いまひとつイメージできません。

「履行の提供」という言葉の意味については、同時履行の抗弁権のところで「履行の準備を整えること」と説明しているはずです。
厳密には、「履行の提供」は基本テキストVol.1 P139で登場する「弁済の提供」と同義であり、「弁済の提供」とは債務者が弁済のために必要な行為を完了することを言い、弁済(≒債務の履行)は、債務者による弁済提供と債権者による受領で完成します。

「履行の提供の継続」とは、文字通り、履行の提供を継続することです。
たとえば、代金支払債務を負っている債務者が、債権者の自宅で金銭を持参することが履行の提供(弁済の提供)であり、その状態を継続すれば「履行の提供の継続」です。

上記の通り、Aが契約を解除するためにはBを履行遅滞に陥らせる必要があります。具体的には、Bの同時履行の抗弁権を失わせる必要があります。
そのためには、Aは一度、履行の提供をすれば足り、履行の提供を継続する必要はありません。
一度履行の提供をすれば、その瞬間にBの同時履行の抗弁権は消滅し、Bに履行遅滞が成立するからです。
そう言う意味で、Aは履行の提供を継続する必要まではないのです。

〉再度履行の提供をしないと代金の支払いを求めることができないとか、具体的な状況が掴めず理解しづらいです。
〉履行の提供とは、履行の実行とどの点が違うのか、解説お願い致します。

申し訳ありませんが、本問の問題文にも解説にも「再度履行の提供をしないと代金の支払いを求めることができない」との記述はありませんよ。
おっしゃっていることは間違いではありませんが・・・。

また、「履行の実行」という言葉は少なくともウチの教材や講義では使用していないはずですし、法律用語としてもそのような言葉はありません。

失礼ながら、よそのテキスト等で、必ずしも宅建試験では必要とされていない知識に深入りしてしまったため混乱されているのではないかと想像しますが、いかがでしょうか?
先日の、成年後見人の同意権に関するご質問も、その点は共通するように思われます。

タキザワ宅建予備校 講師 瀧澤宏之

参考になった:1

nobori_ryu 2019-07-05 02:28:08

先生、詳細な解説ありがとうございます

ご指摘の通り、こちらの講座に出会う前に独学で別のテキストを読み始めていました。深入りするほど勉強は進んではいませんでしたが、なかなか理解が進まず悩んでおりました。
先生の講義は明瞭でわかりやすく、信じてついてゆけば合格できるかもと希望を持ちはじめています。
質問にすぐ回答していただけることもとても有難く心強いです。
実はこの問題は正解していたのですが、「履行の提供」でどうにも引っかかってしまい、基本テキストを遡ってみたのですが、見つけられず質問させていただいた次第です。(テキストに索引があると助かるなと感じました。)
その後テキストで「弁済の提供」が出てきて、これは履行の提供と同義かな?と気づきました。
今回の、「債務者による弁済の提供と、債権者による受領で完成する」という先生の御説明でスッキリ納得できました。相手が受け取ってくれないと完成しないという視点がかけており、弁済の提供(履行の提供)と弁済の完成の違いがあいまいになってモヤモヤしていたようです。
先の質問で履行の実行と書いたのも、自分でわかりやすく疑問点を伝えようとして使ってしまった表現ですが、法律用語って厳密で難しいですね。
「再度履行の提供をしなければ代金の支払いを求めることができない」という点にいたっては、自分で調べている内にわからなくなり混乱したのですが、今になるとどこから引用したのか不明でお恥ずかしいです。
でも、こうして悩んで質問して納得した知識は記憶に定着しやすいので、前向きに考え頑張ります。
これからも思いこみや勘違いで迷走するかと思いますが、勉強不足だからと躊躇せずに質問させていただこうと思います。引き続き御指導を宜しくお願い致します。

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mmmgk  2019-07-05 12:36:22



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