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ryosei@1970さん、こんにちは。

本問の相手方Cは悪意です。
したがって、「相手方が、権限外の行為であるということについて善意・無過失であれば、無権代理行為は本人に効果帰属する」にあてはまりません。

ただ、転得者Dには「Aに甲土地を売却する代理権があると信ずることにつき正当な理由」があるため、Dを対象とした権限外の行為の表見代理が成立するのではないかがさらに問題となります。
しかし判例は、転得者を対象として権限外の行為の表見代理が成立することはないとする立場です(最判昭36.12.12)。
したがって、②は誤りです。

タキザワ宅建予備校 講師 瀧澤宏之

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nobori_ryu 2019-10-07 15:07:43

先生、ありがとうございます。

悪意のC⇒善意・無過失のDと転得されているが、悪意のCから取得した善意・無過失のDは悪意取得を受け継ぎイメージなのでしょうか。
もしくは、判例の基準は、悪意のCを焦点とし判決を出すイメージなのでしょうか。

一定の理解(設問党のイメージを覚えてしまう)はしました。

理屈がくっつくと忘れないと思いますので、再度の質問となりますが宜しくお願い致します。

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ryosei@1970  2019-10-08 11:17:18

条文解釈上は、110条の「代理人がその権限外の行為をした場合において、『第三者』が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるとき」の「第三者」に転得者が含まれるかどうかが問題となりました。
しかし、「第三者」には転得者は含まないとするのが判例で、たとえ転得者が善意・無過失であっても権限外の行為の表見代理が成立することはありません。
したがって、Cの悪意を承継するといった論理ではありません。

では、なぜ「第三者」に転得者は含まないのか。一言で言うと、表見代理は本人―無権代理人―相手方の三者関係を念頭に置いた制度だからです。
すなわち、表見代理は無権代理人を有権代理人であると信頼した相手方を保護するための制度です。
この点、転得者が無権代理人が有権代理人であると信じて取引をすることはほとんどあり得ません。
転得者にとっては、前主である「相手方」が権利者かどうかだけが関心の対象であり、「相手方」の取引相手である無権代理人の素性までは通常、関心を持たないからです。
したがって、転得者は表見代理制度の保護の対象外なのです。

また、上記の通り、転得者は無権代理人の素性に関心を持たないため、無権代理人が代理権を有していないことを知らず、多くの場合、善意・無過失です。
したがって、転得者を対象として表見代理の成立を認めると、比較的容易に表見代理の成立が認められてしまうことになります。
しかし、本人には帰責性があるとはいえ、たとえば虚偽表示の場合の権利者のように、自らニセの契約に手を染めたような大きな責任があるわけではありません。
にもかかわらず、安易に表見代理の成立を認めるのは本人に過大な責任を負わせることになりかねない、といったバランス感覚も背後では働いていると理解されています。

したがって、「悪意のCを焦点とし判決を出すイメージ」ともちょっと違いますね。

ちなみにこの判例、宅建試験では一度も出題例がありませんが、他の資格試験等ではよく出題されるかなり有名な判例で、宅建試験で出題されていないのが不思議なくらいの判例です。
余力がある方は知っておいても損はないと思います。

タキザワ宅建予備校 講師 瀧澤宏之

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nobori_ryu 2019-10-08 12:15:39



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