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権利関係/抵当権・消滅時効
kid1412 2020-06-22 20:58:52
瀧澤先生
お世話になっております。
61・113ページで「後順位抵当権者は、仙順位抵当権者の被担保債権の消滅時効を援用できない」とありますが、なかなか理解できません。
112~113ページの(6)抵当権の順位の実例で、Bの土地に
①A銀行が抵当権を設定(1番順位抵当権者)/被担保債権:1000万
②C銀行が抵当権を設定(2番抵当権者)/被担保債権:500万
③1番抵当権者の抵当権が消滅時効により消滅し、後順位抵当権者のC銀行の抵当権が1番抵当権者に繰り上がる。
①~③の話の流れで、
後順位抵当権者(C銀行)は先順位抵当権者の被担保債権(1000万)の消滅時効を援用できないと113ページの補足説明にあります。
ここでいう消滅時効の援用とはC銀行がA銀行すなわち先順位抵当権者の被担保債権(1000万)をC銀行の債権額である500万に上乗せして、抵当権実行時に回収することはできず、C銀行は順位が繰り上がっても、抵当権実行時の回収金額(債権額)は500万円を極度額とするということなのでしょうか?
「援用」ということなので、時効により利益を受けるということなので、112ページの例題で考えると、C銀行はA銀行の被担保債権になっていた債権額は回収できず、もともと設定した債権額500万をより確実に回収できるようになるということなのでしょうか?
解説お願いします。
kid1412さん、こんにちは。
ちょっと混乱されているようですね。多分、難しく考えすぎだと思いますよ。
〉ここでいう消滅時効の援用とはC銀行がA銀行すなわち先順位抵当権者の被担保債権(1000万)をC銀行の債権額である500万に上乗せして、抵当権実行時に回収することはできず、C銀行は順位が繰り上がっても、抵当権実行時の回収金額(債権額)は500万円を極度額とするということなのでしょうか?
そういうことではありません。
この場合に「C銀行が消滅時効を援用する」とは、A銀行の被担保債権について消滅時効が成立した場合に、C銀行が「A銀行の被担保債権は消滅した」と主張することです。
A銀行の被担保債権が消滅すれば、付従性によりA銀行の1番抵当権が消滅し、結果、C銀行の2番抵当権が1番抵当権に繰り上がれるので、それを目当てにC銀行が「A銀行の被担保債権は消滅した」と主張するわけです。
しかし、判例は、後順位抵当権者が先順位抵当権者の被担保債権の消滅時効を援用することを認めませんでした。
つまり、C銀行が「A銀行の被担保債権は消滅した」と主張することを認めなかったということです。
タキザワ宅建予備校 講師 瀧澤宏之
参考になった:2人
nobori_ryu 2020-06-20 22:37:58
瀧澤先生
ご回答ありがとうございます。
ここでいう消滅時効の援用ができないとはCが「Aの被担保債権は消滅した」と主張することを認めないということなんですね。
結論はわかったとして、なぜ民法の判例では、そのような解釈になっているのでしょうか?
初学者のイメージですが、Aの被担保債権が消滅時効によって消滅すれば、後順位抵当権者の順位が繰り上がるので、「第1順位抵当権者の被担保債権は消滅した」と主張していいと思うのですが・・・。
順位の繰り上がりが起こるので、後順位抵当権者には消滅時効を援用(=第1順位抵当権者の被担保債権は消滅した)できる低位と思うのですが・・・。
どうして民法では時効の援用が認められていないのでしょうか?
kid1412 2020-06-21 21:52:47
まだ誤解があるようです。
被担保債権の消滅時効の完成(成立)と被担保債権の消滅は同じではありません。
被担保債権の消滅時効が完成し、援用権者が援用を行うことで初めて債権は消滅します。
逆に言うと、被担保債権の消滅時効が完成しても、援用がなければ被担保債権は消滅しません。
kid1412さんの頭の中では、消滅時効の完成=被担保債権の消滅となっていませんか?
もしかすると、それが今回の混乱の一因となっているかもしれませんので、ご確認ください。
また、援用の効果は相対的にのみ生じます(基本テキストP62)。
したがって、仮にC銀行がA銀行の被担保債権の消滅時効を援用できるとすると、援用によってA銀行の被担保債権はCとの関係で消滅し、C銀行は1番抵当権者に繰り上がります。
しかし、A銀行の被担保債権は、債務者Bが消滅時効を援用しなければBとの関係では消滅せず、A銀行の抵当権は存続し続けることになります。
「相対的にのみ生ずる」ということを具体的事例に置き換えると、こういうことになるのです。
そして、この状況でBの土地が競売に掛かり3,000万円で売却された場合、誰が配当を受けるのでしょうか?
A銀行は、Bが消滅時効を援用していない限り、Bに対する被担保債権も抵当権も存続していることから、当然、自己が配当を受けるものと考えます。
しかし、C銀行も、A銀行の被担保債権の消滅時効を援用したことで、自己が1番抵当権者として配当を受けるものと考えます。
このような、複雑で解決しようのない問題が生じてしまうので、判例は、後順位抵当権者に先順位抵当権者の被担保債権の消滅時効の援用を認めないのです。
タキザワ宅建予備校 講師 瀧澤宏之
参考になった:7人
nobori_ryu 2020-06-21 23:08:46
瀧澤先生
お世話になっております。
先生の仰っているように消滅時効の完成=被担保債権の消滅と認識しておりました。
「被担保債権の消滅時効が完成し、援用権者が援用を行うことで初めて債権は消滅します。
逆に言うと、被担保債権の消滅時効が完成しても、援用がなければ被担保債権は消滅しません。」
消滅時効が完成しても、援用権者による時効の援用がなければ、被担保債権(A銀行の被担保債権)は消滅しないという結論何となく理解できました。
確かにBが消滅時効の援用をしない限り、講座の実例だとA銀行の被担保債権=第1順位抵当権者の債権が存続しているのに、そこでC銀行が「A銀行の被担保債権が消滅し、自分が第1順位抵当権者だ」と主張するのはおかしいですね。
丁寧な解説ありがとうございます。
kid1412 2020-06-22 20:58:52