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権利関係/配偶者短期居住権について
galon 2020-10-13 11:56:20
タキザワ先生いつもお世話になっております。
質問なのですが、
相続法改正により配偶者短期居住権が明文化されましたよね。
配偶者居住権と違い遺言や相続人の合意がなくとも6か月は配偶者が住んでいた住居にとどまれる法律だと認識しています。
この法律では法律上の配偶者のみを対象にしていると書いてあります
しかしながら
借地借家法では法定相続人がいない場合(知ったときから1か月以内に賃貸人に反対の意思表示をしない限りは)
内縁の妻等が賃借権を承継し6か月間居住できるという特例があったはずです。
全く同じような法律だと思うのですがなぜ一方は相続法、もう一方は借地借家法に分かれているのでしょうか?
私が何か記憶違いをしていることが原因なのか?と思い不安です
細かい論点かとは思いますがお手すきの際回答いただけると幸いです。
galonさん、こんにちは。
〉全く同じような法律だと思うのですがなぜ一方は相続法、もう一方は借地借家法に分かれているのでしょうか?
いえいえ、両者は全く異なる制度ですよ。
内縁の妻等による賃借権の承継は、居住用建物の賃借人が相続人なく死亡した場合に、内縁の妻等に賃借権の承継を認めるものです。
死亡したのは建物の所有者ではなく「賃借人」であることが前提ですし、賃借権の承継を認められるのは配偶者ではなく「内縁の妻等」です。
すなわち、被相続人が有していた賃借権は、被相続人の死亡により相続の対象となりますが、相続人がいない場合は当該賃借権は被相続人の死亡により消滅します。
もちろん、内縁の妻等も相続人ではありませんから、当該賃借権を相続することはできません。
しかし、それでは内縁の妻等が当該建物から直ちに追い出されてしまう懸念があるため、内縁の妻等に特別に当該建物の賃借権の承継を認めるものです。
このように、内縁の妻等による賃借権の承継は、建物賃借権に特有の問題を解決するための制度であり、民法の特別法である借地借家法に規定すべき事柄です。
なお、内縁の妻等は賃貸借契約が終了するまで当該建物に居住し続けられます。「6ヵ月」というような期間制限はありません。
また、「内縁の妻等」という言い回しからわかる通り、この制度は内縁の妻だけに適用されるものではありません。事実上養親子の関係にあった同居者にも適用があります。
一方、配偶者短期居住権は、死亡したのは建物の「所有者」であり、短期居住権を取得できるのは被相続人の「配偶者」です。
配偶者は、死亡した被相続人が所有する建物を相続することができるので、本来であれば当該建物に居住し続けられるはずです。
ところが、被相続人が当該建物を第三者に遺贈していたとか、あるいは、配偶者が相続を放棄した場合などは、配偶者が当該建物の所有権を取得できず、その結果、配偶者が当該建物から直ちに追い出されてしまう懸念があります。
そこで、当面の間、配偶者が当該建物に居住し続けられるよう、配偶者に短期間の居住権を確保するものです。
ですから、配偶者居住権は賃貸借とは何の関係もありません。したがって、借地借家法に規定するのはお門違いです。
ということで、どちらも内縁の妻等または配偶者が、直ちに居住している建物から追い出されてしまうことを防止するための制度であるという点では共通していますが、適用される場面は全く異なります。
そういう意味で、両者が混線してしまうのは非常にまずいです。
あらためて、テキスト等で両者の違いを確認してください。
タキザワ宅建予備校 講師 瀧澤宏之
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nobori_ryu 2020-10-13 10:13:39