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absolutevictory1016さん、こんにちは。

これは実は結構、深い問題です。
先に断っておきますが、宅建試験対策でこの点を理解する必要もなければ悩む必要もありません。
理解する必要があるのは、司法試験や司法書士試験にチャレンジするような方だけで十分です。

ただ、妙に回答意欲を掻き立てられるご質問なので(笑)、少し詳しく説明します。
ですが、宅建試験の合格を目指すだけならスルーするか、頭の体操くらいの気持ちで考えれば十分です。

そこで
〉なぜ解除後にBが不動産を第三者に売れるのか

ですが、
実はこの問題は「解除後の第三者」や「取消後の第三者」の事例を持ち出すまでもなく、通常の二重譲渡の場合でも問題となります。
たとえば、AがA所有の土地をBとCに二重に売却した場合、先に登記を備えた方が勝つことになりますが、この場合も、Aが土地をBに売却した時点で土地はBの物ですから、Aが重ねて同じ土地をCに売却することはできないはず、という疑問は出てくるのです。

この点について、多くの学者は以下のように説明します。
「土地がAからBに売却されても、登記がA名義のままになっている間は、土地の所有権は完全にBに移転してしまうわけではない。だからAは重ねて同じ土地をCに売却することもできる。」

この論理を「解除後の第三者」や「取消後の第三者」に当てはめればよいのです。
すなわち、「AがBにA所有の土地を売却したが、Aが債務不履行を理由に売買契約を解除した場合において、当該土地の登記がB名義のままになっている場合は、土地は完全にAの物になったわけではないので、BはCに同土地を売却することができる。」

これで疑問は解決ですね。

ところが実は、「解除後の第三者」には、もう一つ別の問題があります。
判例は、債務不履行解除があると契約は遡及的に消滅する(=初めから契約はなかったことになる)という立場を取ります(最判昭34.9.22)。
だとすると、AがBにA所有の土地を売却したが、Aが債務不履行を理由に売買契約を解除した場合、解除によって土地はBからAに戻るのではなく、最初からBには売却されていなかった、土地は一度たりともBの物とはなっていなかったと考える方が筋が通ります。となると、解除後にBが土地をCに売却した場合、土地がBからA、BからCと二重に譲渡された場合と同じだと考えて登記で決着をつける考え方は成り立たないことになります。

ちなみに、「取消後の第三者」にも同様の問題が生じます。契約を取り消すと、契約初めからなかったことになる旨民法に明記されているからです(121条)。

それゆえ、「解除後の第三者」、「取消後の第三者」については、判例と異なる立場をとる(民法94条2項の類推適用によってAとCの権利関係の解決を図る)学者は少なくありません。

ご存知の通り、判例は、「解除後の第三者」も「取消後の第三者」も、AからBに売却された土地は解除または取消しによってBからAへ復帰的に物権変動したととらえ、その後のBからCへの同土地の譲渡によりAとCの関係を二重譲渡類似の関係と捉え、登記により決着をつける立場ですが、このような判例の考え方も、理屈を突き詰めると矛盾をはらんでいるのです。

瀧澤





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nobori_ryu 2017-06-08 23:38:28



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